雲鳴遊乃実式140字SS集

泉宮糾一

140字SS本編

第1編 2017/5/8

まず君が、僕の最も大切な物をくれと言った。

だから僕はどうぞと答え、命を差し出した。

すると君は僕の申し出を断った。伏し目の先に涙が見えた。

僕と君の狭間で、捨てた命が暗がりを灯していた。やむなく拾うと温かった。遠のく君の気配があったが振り向けはしなかった。

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