第15編 2018/2/15

君が階段を踏み外したから反射的に手を伸ばした。虚を突かれた君の顔がじわじわと赤くなる。

「気をつけろよな」

強めに言い置き踵を返す。怒ってはいない。手に残る柔らかさに緩む顔を隠したかっただけだ。

「ありがとね」

どうして大声出すんだか。お陰様の不注意で、最上段の幻に足を掛ける五秒前。

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