「教室」特有の人間模様の、表のきらめきも裏の闇深さも1ページの物語の中に見事に敷き詰められていて唸ってしまいます。出来事の背景を想像させる技巧、心に迫る表現力、文章のリズム感、構成力などなど、全部隙が無くて、何度でも読み返したくなる魅惑的な作品です。
鋭い鉛筆の芯。 それは心であり、武器であり、そしてただの物でもある。 鉛筆の芯で心臓を刺され、そしてその鉛筆がつむぎだした物語に心を奪われる。道具として作られた、ちっぽけな黒鉛。それがこんなに大きく感じられるのはどうしてだろう。
出だしは鉛筆の貸し借りから始まり、ラブコメかなと思わせておいて違った。 思春期に内在する暴力性と透明感が上手く表現されていました。 誰しもが感じたことがあるであろう暗い感情が訥々と現れ、読んでいて苦しくなるけれど、何時までも読んでいたくなるそんな小説です。
どうしてこうなってしまった?事実の羅列は求めた答えにならない。それでも募る想いが確かにある。だからわたしは鉛筆を尖らせた。あなたに返すため、私にふさわしいモノにするために。こころのなかの黒炭色は罪科の痛みか、育ちかけた想いの熾火か。あなたにもらった桜色にこの胸が染まれるその日を待ち焦がれる。
お風呂あがりに遠藤さんの新作だわと、読むわ読むわと開いたページ。なんだろう、熱い。お風呂あがりだからじゃないですよ。火あぶりというか、ヂリヂリと身を焼かれるような。彼女の行動、彼の行動の根底にある感情は私の中にも眠っているのかもしれない。そう思ったら怖くなった。最後まで一気に読みました。
青春らしい甘酸っぱさを期待すると衝撃が襲ってきますよ。この作品において、甘い理想は打ち砕かれます。
思春期特有の酷さ、脆さ、儚さ……色々が凝縮されて息苦しさを覚えるような作品でした!
ちょっとここ最近なかった読了感です。これは閲覧注意です。片手間に読もうとしたら駄目です。襟を正して読んでください。
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