エピローグ 最後の思い出 ~ありがとうとさよなら~

最後の思い出 ~ありがとうとさよなら~

 あー! やっと戻れたね、お兄ちゃん。

 うん、満たされた。私はもう満足だよ。何も思い残すことはない。

 色んな世界で色んな恋愛を体験でき、しかも成就できた。お姉ちゃんにだってなれた。妹なのにね、お姉ちゃんってこそばゆかったな。えへへ。あと不本意だけど、男の子にもなったしね。ほんと、不本意だったけど。でも、あれもいい思い出、かな。

 だって、私の魂が、私がずっと抱いてきた恋心が、他の人を通じてだけど、ちゃんと満たされたんだもん。これ以上望んだら地獄に落ちちゃうよ。

 だからね、そのね――えと、ね?

 お兄ちゃんとは、これでさよなら。

 さよ……なら。なんだよ? ぐす。

 あ、ごめんね。涙が止まら……あ、あれ。止まらないよ。どうして?

 もう満たされたはずなのに。私、幸せなはずなのに。

 でも、我慢できないみたい……う、うぅ。うえぇ……。

 ううん! ダメ! これでさよならなんだから!


 ねえ、お兄ちゃん。

 ありがとう。私のわがままに最後までつきあってくれて。

 お兄ちゃんのことが好きだったという想いを昇華させて、結ばせてくれてありがとう。

 あり……ぐす……がとう。

 だからもう、さよなら。

 二度と会えなくなるね。やっぱり、寂しい。

 出来るなら、あの後も見たかったな。結ばれた後の日々。でも、それはさすがにわがままが過ぎるよね。ごめんなさい……でも……でも。

 アオの時でわかったの。やっぱり世の中どうにもならないことがあって、努力できることには限界があるって。だからある程度は妥協もしなきゃならないって。

 だからこれは妥協。絶対に必要な、妥協。

 私は願いを叶えた。それで十分だって……言い聞かせなきゃ、幸せには、なれない……う、うぅ……。

 う……うぅ……う……

 うえぇええ。やだよう! もうお別れなんてやだよう! ふええええん!

 やだようやだよう! もうお別れなんて私やだよ!

 あ……ぐす……。

 ご、ごめんなさい……。せっかくのお別れなのに……私……なんてこと……。

 うん、うん。

 ぁ……お兄ちゃん……え? 忘れないって。永久のお別れじゃないって? どうして?

 え? 死んだら会えるから? だ、ダメだよ。お兄ちゃん死んじゃヤダ!

 あ……そ、そうだよね。人はいずれ死ぬよね。え、えへへ。そうだった。私、早とちりしてた。

 うん、わかったよお兄ちゃん。私待ってる。百年待つね。

 あー、ダメだよ。お兄ちゃんは長生きするの。私の分も沢山沢山長生きするの。百二十歳まで生きるの。確か大還暦って言うんでしょ? 私知ってるよ。えっへん。

 そしたらさ、来てよ。私の所に。

 だから百年。

 百年後。また会お?

 うん、百年くらい簡単だよ。だって百年後――私は大好きなお兄ちゃんとまた会えるんだもん!


 だから、改めて言うね。

 私はね、お兄ちゃんのこと好きだよ。今でも、これからも、ずっと。

 そしてそんな私の想いに応えてくれて、本当にありがとう。

 じゃあ、またね。

 ばいばーい。あはは。

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妹が話しかけてきた √ブルマとメイドと男の娘 深田あり @hukadaari

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