あとがき

 本作を読んでいただき、誠にありがとうございます。作者の守田野圭二すたのけいじです。

『俺の彼女が120円だった件』、いかがだったでしょうか。

 文字数にして約120万、話数にして341話にも及ぶ長編作品でしたが、ここまでお付き合い下さった皆様に少しでも納得していただける最終章となっていれば幸いです。

 もしもこの作品を読んで「こんな連中と友達になってみたい」「昔の自分が懐かしい」と感じていただくことができたなら、作者としてそれほど嬉しいことはありません。


 ここからはあとがきということで、120円に関する小話や裏話を少々。興味のない方は最後にある、お知らせだけでも読んでくださるとありがたいです。




 本作のメインテーマは『現実味のある面白さ』と『懐かしさ』ですね。

 主人公が無双する異世界もの。いきなり好感度マックスのヒロインが懐いてくるラブコメ。創作世界の中でくらい、楽しい思いをしたい気持ちもわかります。

 しかしながら若い学生さん達には、もっと夢を持ってほしいというのが自分の願いです。

 リアルにはリアルなりの面白さがあり、高校生や大学生はそれを最も楽しめる期間。櫻達のような青春をすることだって、決して不可能ではありません。

 そういう点で見ると120円は、壮大な進○ゼミだったりします。努力して成長して恋をする主人公の、高校三年間に渡るサクセスストーリー。いわば人生ゼミでしょうか。


 読者の中には、既に学生を卒業している人も多いと思われます。そういった方々には、アルバムを眺める感覚で読んでいただけるように心掛けておりました。

 本編でも語られた内容ですが、余裕を持つことは大切です。何かに追われるように生きる毎日から、時には足を止めて後ろを振り返ってみるのも良いでしょう。

 学生時代のあるあるや懐かしいネタは地域や個人差もあると思いますが、少しでも共感できたり、自身の青春を思い出したり、笑っていただけたなら幸いです。




 実は『俺の彼女が120円だった件』という作品は、元々異能バトルものを中心に書いていた自分にとって初めてのラブコメでした。

 書き始めたきっかけは『ラノベっぽいタイトルを考える』的なまとめ記事にあった『彼女がコンビニで売られてた』とか、そんな感じの内容だったと思います。そこから『値札を付けた店員との出会い』なんて発想が生まれた訳ですね。

 普段は一章を書くのに三、四ヶ月ほど掛かってしまうものの、120円は驚いたことに過去最速の一ヶ月で粗原稿が完成。公募に応募する一方で初のWEB投稿にも挑戦し、反響があったため一章完結ではなく続編を書いた次第です。




 ただそれだけ速く書けたのは理由があり、調べれば分かることなのでお話しをすると、120円の舞台である屋代学園は実在する高校をモデルにしております。

 また陶芸部という滅多に見ない部活動も自分の経験を生かしたものであり、新たに調べる知識も少なくイメージがしやすかったというのも大きいです。


 ただそうなると「作者の自伝なのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。


 申し訳ないことに本作のテーマの一つが『読者が懐かしいと思える作品』であるため、エピソードの一部は自分や友人の実体験も含まれております。

 しかしながらキャラクターに関しては、自分と同一視しているようなことは一切ないためご安心ください。家族構成や両親の職業は勿論のこと、作者はコンビニでの出会いもなければ幼馴染もいない独身です。独身なんです。(大切なことなのでry)




 キャラクター関係の話をすると、リアルでもいそうな雰囲気にするのが苦労しました。特に口調が厄介で、全員に普通の喋り方をされると判別がつかないんですよね。

 主人公である櫻は初期プロットだとやれやれ系でしたが、思春期男子が異性を意識しない訳ないだろということで阿久津に片想いしている設定に変更。

 そして二人の接点を作るために梅が生まれ、学生で仲良しな二人兄妹なんて滅多にいない気がしたので桃姉さんの爆誕といった流れでした。

 意外と悩んだのが櫻の中学時代の話。犯罪に手を染める訳にはいきませんし、下手な悪事を書いて読者に真似されるのも嫌だったため、全国の中学&高校男子が意外と気付きにくい成長期の体臭を取り扱ってみましたが……どうだったんでしょうかね?




 そんな櫻の日常が変わるきっかけとなった夢野も、中々に苦労するキャラでした。

 阿久津が黒髪ロング、ボクっ娘、毒舌クール、文武両道と特徴的なのに対して、夢野は最初こそ謎に包まれていたもののメインヒロインとしては割と無個性だったりします。

 しかもクラスも部活も違うため、櫻と会えるのも限られた時間のみ。そんな夢野を可愛く描けるかというのが自分にとって大きな課題であり、夢野が好きと言ってくださる読者さんの声は本当にありがたかったです

 キャラクターとしての人気は阿久津の方がありそうですが、二人の性格や特徴を並べて『現実で付き合うとしたら?』なんてアンケートを取ったら、夢野の方が優勢になるかもしれません。阿久津は二次元的ヒロイン、夢野は三次元的ヒロインという訳ですね。




 本編は阿久津エンドでしたが、これは初期から決まっておりました。

 夢野エンドに分岐する構想も一応あり、その場合は修学旅行の行き先やアルカス関係、センター数学でやらかした櫻の元に現れるキャラや受験の合否など、色々と変わってきます。アキトが櫻に明かさなかった「最終手段」とは、実はそういうことだったり。

 今のところ書く予定はないものの、コミカライズとか出せるくらい有名になれたら…………まあその前に書籍化という大きな壁があるんですが(泣)




 この際なので作家あるあるな脳内妄想も垂れ流しておきます。書籍も出してない癖に何を夢見てるんだって話ですが、アイデアメモとして生温かい目で眺めてやってください。


①ラジオ

 パーソナリティーは桃&梅か、阿久津&夢野……テンション的に前者?

 コーナーの一つに、120円で売られてる商品の紹介とかありそう。


②ラインスタンプ語録

 梅→「はよざっす」「梅梅~」「うめでとう!」「ヴェエエエッ?」「音速ダァッシュ!」「もし~ん」「梅引くわ~」「ちょっといい気分~」「ハイッ!」

 櫻→「そういう誤解を招く発言をするな」「……マジですか」

 冬雪→「……マジ」「……(コクリ)」

 如月→「(コクコク)」「(フルフル)」

 夢野→「ふふ」「ありがとうございました」

 阿久津→「ふむ」「やれやれ」「キミは何を言っているんだい?」

 アキト→「おk把握」「ちょま」「さいですか」「キタコレ」「フヒヒ、サーセン」「あるあ……ねーよ」

 葵→「えっ?」「えぇっ?」「えぇぇっ?」「えぇぇぇっ?」


③アニメ

 OPラストで櫻が買い物をして、支払う金額が毎回10円ずつ増えていく。渡す商品も10円、20円、30円で変わっていって、ワンクールで丁度120円!


④ギャルゲー

 櫻としてプレイするか、屋代生としてプレイするかを選択できる。

 屋代生にした場合、所属クラスはC―3、F―2、F―4の三種類。部活動も陶芸部、音楽部、美術部から選ぶことができて、それにより各ヒロインの初期好感度も変化。

 当然ながら阿久津と夢野以外に、冬雪や如月や火水木といったヒロインも攻略可能。クリア後には隠しルートとして桃や梅が…………?


⑤スピンオフ

 やっぱり一番掘り下げたいのは葵。陶芸部とは異なった一体感のある青春が、音楽部を舞台に繰り広げられる?




 アホみたいな妄想も尽きたので、お世話になった方々へのご挨拶を。

 まずは表紙絵を含め、沢山のイラストを描いてくださったぐすたん先生。文字だけだった120円のキャラをビジュアル化していただき、心より感謝しております。視覚情報とは恐ろしいもので、お陰様で阿久津や夢野や冬雪が夢に出るようになりました!

(ぐすたん先生のイラストはhttps://twitter.com/i/moments/1247874995117641729にまとめさせていただきました。一見の価値ありです!)

 そして初期の頃から下読みをしてくれた友人T。公式連載等の諸事情によりサイトを転々としたものの、追い続けてくださった読者の皆様。本当にありがとうございます!






 最後に、ちょっとしたお知らせです。

 付き合うまでの過程を描いた本作ですが、当然付き合った後も見たいという方もいるでしょう。その一方で、綺麗なまま終わってほしいという意見もあると思います。

 そのため『俺の彼女が120円だった件』はこれにて完結。櫻と阿久津が卒業した後の後日譚を、別作品としてささやかではありますが投稿させていただきました。

 更新は金曜日で、総量は20話くらいになる予定です。短編風になりますが、それでもいいと言う方は応援宜しくお願い致します。




 後日譚の投稿が一段落ついたら、今まで書いてきた他の作品を投稿するかもしれません。その時はお好みに合うようでしたら、是非読みに来ていただけると嬉しいです。

 また『俺の彼女が120円だった件』において朗報が届いた際には、近況ノートだけでなくこのあとがきに加える形でご報告の投稿をさせていただこうと思います。


 長くなりましたが、ここまでのお付き合い、本当にどうもありがとうございました。またどこかでお会いできることを心から祈っております。


 俺の彼女が120円だった件~After days~

https://kakuyomu.jp/works/1177354054895109761

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俺の彼女が120円だった件 守田野圭二 @sutanokeiji

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