第15話情報交換

「では、中にどうぞ。それと、ソレイヤさん、落ち着いたらでいいのでリーネさんと、そこの二階建ての私の家に来てくれませんか?話がしたいので」


俺は、自分の家を指さして言う。


「わかりました。ご配慮くださりありがとうございます」


ソレイヤさんはリーネさんを間に挟んで、俺にそう言った。



~~~~~~



コンコン、と家の玄関ドアが鳴る。


俺は、ドアを開け、ソレイヤさんとリーネさんを家の中に入れ、席に着くように促す。


「粗茶ですが、どうぞ」


そう言って、俺は、体力が低回復する飲料アイテムの一つであるハーブティーをテーブルの上に人数分出す。


サバクリには、脱水症状や、飢餓状態によるバッドステータスがあり、そのため、水分のゲージや食料ゲージがある。その、水分を回復するアイテムの一つであるのが、ハーブティーである。

ものを食べることや飲むことで、生命力はじわじわと時間経過で、回復していくが、ポーションだと、一気に一度に回復する。


「わざわざありがとうございます」


そう言って、ソレイヤさんはハーブティーに口をつける。

すると、


「な!何ですか!これ!飲んだら、あれほど疲れていたのに、その疲れが取れてきたのですが!?」


「あぁ、そのハーブティーには生命力回復作用がありますから、たぶんそのせいだと思います」


「えぇ!も、もうしわけありません!そのような貴重なものを飲ませていただいてもらって」


「え?そんな貴重なものではないから、大丈夫ですよ」


この時ソレイヤは思った。

この世界で、貴重な回復アイテムを粗茶と言って出してくるこの人物はいったいどういう人物なのだろう、と。

 まぁ、確実に、常識から外れていることはまちがいない、と。


「そ、そうなんですか。では、ありがたくいただいておきます……」


「父さん、そんなことで一々驚いていたら、この先たいへんよ。こんなのまだまだ序の口なんだから!」


リーネさんが楽しそうに言う。


「え!ソレイヤさんって、リーネさんのお父さん何ですか!?てっきり、恋人同士なのかと思ってました」


俺は、さきほど、リーネさんがソレイヤさんに泣きながら抱き着いている光景を見て、てっきり恋人同士なのかと思っていた。


それは、若く見えるイケメンと美女でお似合いだな、と思ったからだ。

 そして、リーネさんよかったね、という気持ちと同時に、少しだけ残念だという気持ちも抱いた。


「そうなんですよ。ちなみに、いくつに見えますか?」


「エルフで、娘がいるってことは、そうとう年を取っているんだろうけど、いくつに見えるか、と問われると、正直、16~25歳くらいにしか見えないです」


「やっぱり!人間の方から見ると、エルフって言うのは若く見えるものなんですね!私はこれでも、200歳なんですよ!」


「えっ!そんなにですか!」


と、答えてはみたものの、例えばだが、犬の年齢を人間の年齢に換算すると、○○歳だみたいなことは、地球でもあったので、エルフの年齢を人間の年齢に換算すると、見た目年齢に近いのではないのだろうか?とも、さきほど、何歳に見えるか聞かれたとき思った。


こんな感じに談笑しながら、情報交換をしていた。

すると、


「村が壊滅することとなった、原因ですが、少しだけ分かったことがあるんです。それはですね、私たちエルフが村を襲ったモンスターから逃げた時、このあたりの森の主がいなかったんですよ。普段は、主の縄張りには近付かないようにしていたのですが、逃げているとき、主の気配がしないので、縄張りに入って見たら、それはそれは、モンスターたちの縄張り争いが激しく起きていて、普段は森のもっと奥で見るようなモンスターもたくさんいました」


俺は、もしかしたら、という疑念を持ちながら問う。


「も、もしかして、その主って言うのは、ゴブリンだったりしますか?」


「し、知ってるんですかぁ!」


「いや、実は……」


と、俺がしてしまったことに罪悪感を抱きながら、正直に話した。


「そ、そうですか。正直に話してくださり、ありがとうございます。このあたりに気付いたら居て、この辺のモンスターの縄張りを知らなかったのはしょうがないですね。しかし、理性では、仕方がないと分かっていますが、私の村では亡くなった者も多いので、気持ちの面では、納得できない部分もあります。今日の話はここまでにしましょう」


「すみませんでした」


「いや、謝ってもらいたくて、こういったわけではないんです。今の私たちには、時間が必要です。では」


そう言って、ソレイヤさんは立ち上がり、後に続くように、リーネさんも立ち上がり、家の玄関の方に歩く。

そして、俺がソレイヤさんたちを見送るために玄関のドアを開けると、そこには、小さなエルフの男の子がいた。


「あっ」


男の子はそう言うと、駆け出してどこかに行ってしまった。


聞かれてたのか?


拙いことになったという、気持ちが俺の心の裡に湧いた。



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