第6話ヘルモードで遊んでたプレイヤーがイージーモードで遊んだら

「詰んだなぁ」


ざっと、見た感じで、七匹くらいいる。

弓や槍、錆びた鉄の剣を持ったゴブリンだ。


ゲームだったら、詰みだ。


しかし、ここは現実だ。

死んだらリスポーン地点に、復活するかはわからない。


考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ。


目の前に矢が飛んでくる。


「痛っ!!くはない?」


考えていたら、目の前から、弓を持ったゴブリンが射た矢が胸に刺さった。

胸に矢が刺さったはずなのに、痛くない。


「ステータス」


◇◇◇◇


名前:

種族:ヒト

レベル:5

生命力:90

筋力:110

耐久力:100

器用度:100

敏捷度:100

ポイント:3


◇◇◇◇



「あれ?10しか減ってない?」


おかしい、初期装備のTシャツとパンツでは、防御力はゼロのはずだ。

しかも、ゴブリンの矢のダメージは生命力が30減るはずだ。


現実世界で、矢が刺さった時は抜かない方がよいと聞いたことがある。

抜くと血が余計に出てくるからだ。


しかし、あえて矢を胸から抜く。


すると、胸に傷が、急速に治っていった。

しかも、矢を受けて、穴が空いたはずの、Tシャツの穴も同時にふさがった。


あれ?もしかして、ひょっとすると、この世界って、サバクリとちょっと違う?


検証をしてみよう。


ゴブリンを1匹だけ岩を登ってくるのを邪魔せずに、岩に登らせる。


『グギャ!』


ゴブリンが、威嚇の泣き声を鳴らす。


そして、攻撃を受ける。


ゴブリンの装備はこん棒だ。

現実でぶたれたら相当痛いだろう。


あたる直前思わず目をつぶってしまったが、痛くない。


俺は予想があたり、思わずニヤニヤ笑いながら、槍を突く。もちろん目に向かってだ。


ゴブリンが息絶える。


おそらくだが、この世界の設定はゲームでいうイージーモードなのではないか?

俺は、ゲームではヘルモードで遊んでいたから、その可能性を忘れてしまっていた。


ヘルモードでは、プレイヤーの被ダメージが3倍になる。

プレイヤーが与えるダメージも増えたはずだ。

他にも、いろいろと変わっているところはあるが、俺はヘルモードでしか遊んだことがないので、あまり覚えていない。


でも、プレイヤーが死ぬことは相当無かったはずだ。


俺は、さらに、ニヤつきながら岩から降りる。


さぁ、無双の時間だ。

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