第2話初心者殺しのエリアボス

目の前が、溢れんばかりの光で覆われたかと思うと、俺は砂浜に倒れていた。

俺は、パンツとTシャツ1枚だけ着ていた。

ゲームをしていた先ほどまでの恰好とは明らかに違う格好に気付いたらなっていた。


「なっ、何が起きたんだ?」


といっても、誰か応えてくれる人もいない。


俺は、軽くパニックなりそうだったので、深呼吸をして、心を落ち着かせる、そして周りを見渡してみる。俺がいる場所は砂浜で、海が見わたす限り広がっている。海とは反対方向を見てみると、木が鬱蒼と茂っている。

辺りは、潮の音で満ちている。


幸いなことに、気温はTシャツとパンツでいても、丁度いいくらいの温度だった。

丁度いいくらいの温度と言うことは、ここは日本ではない可能性が高い。何故なら俺が、先ほどまでいた、日本は冬だからだ。

俺がいる場所が日本だとしても、可能性としてあるのは沖縄くらいだろう。


俺の今いる場所の砂浜の色は白い。

砂浜の色が白いというのは、死んだサンゴが海で削れて、小さな粒になったことが、砂浜が白くなる理由なので、俺がいる場所は赤道付近のサンゴが海に生息しているあたりにいるのだろう。


それにしても、人の気配が全くしない


「この場所どこかでみたことあるようなきがするんだよなぁ~」


とりあえず、ここにいても、埒が明かないため、周囲を探索してみよう



~~~~~~



海とは反対方向にある森の中に分け入って進むと、突然『グギャギャ!』と声がした。

それが何の声だかは分からなかったが、よく聞きなれた声だった。

声のする方を見てみると、ファンタジーでお馴染みのゴブリンがいた。


そして、俺は瞬時に悟った。

この世界がサバイバルクリエイトの世界だと。

何故なら、今見たゴブリンは、サバイバルクリエイトの初心者殺しと名高いエリアボスのゴブリンだったからだ。

なぜ、エリアボスだと分かったのかと言うと、エリアボスの背後には赤いオーラがたちこめているからだ。

そして、俺は、このような状況をゲームで体験したことがある。

サバイバルクリエイトを初めて始めた時、事前知識なしで挑んだところ、プレイヤーのリスポーン地点のすぐ近くに配置された、このゴブリンのエリアボスに何度も、殺されたことがあるからだ。


状況を把握した後、すぐに俺はリスポーン地点の砂浜とは真逆の方向に向かって走り出した。


先ほどの、『グギャギャ!』と言うゴブリンの声は、獲物――つまり、プレイヤー――を見つけた時に発せられる声だ、

なので、当然エリアボスのゴブリンは俺を追ってくる。


このゴブリンがなぜ、初心者殺しと名高いのは、俺が今の今までした行動から分かる通り、何も、装備の持たないプレイヤーを殺してきたからだ。


プレイヤーは殺されると、当然リスポーン地点で復活されるが、一度殺されたプレイヤーはまた死ぬことになりやすい。


何故なら、エリアボスのゴブリンは、プレイヤーを殺すことでレベルアップするからだ。



~~~~~~


このゲームの初めは、自分で石と木材などを集め、その材料から石斧や、石のツルハシを作らなければならない。

製作した、石斧や石のツルハシなどを使うと、材料の採取の効率が上がったり、その、装備からでしか取れない素材もたくさんある。


では、石斧や、石のツルハシを作るための木材や石を、どうやって手に入れるのかと言うと、自分の素手で殴るのだ。


大事なことだからもう一度言う、素手で殴るのだ。




~~~~~~



俺は、リスポーン地点とは真逆の方向に向かって走る、エリアボスのゴブリンに殺されないように全力で。それでいて、周りの木などを素手で殴る。


素材の回収は気にしない、何故なら殴れば殴るだけイベントリに勝手に素材が収集されるからだ。


初心者殺しと名高いエリアボスのゴブリンだが、弱点が無いというわけではない。


その弱点を俺は突くつもりだ。



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