第14話再開
リーネさんの村を探索した後から、リーネさんの意識はずっと上の空だ。
俺は、どうしてやることも出来ない現状に歯がゆい思いをしていた。
困った。リーネさんがずっと落ち込んでいるから、家の中の雰囲気がどうにも暗い。
そして、俺が気を使って話をしようとするから、沈黙が訪れた時の雰囲気が、余計に俺にはつらい。
なので、リーネさんはそっとしておくことにした。
俺は、今、家の周りを拡張している。
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家の周りの拡張が終わった。
以前、25メートルプール三つ分くらいの土地を畑にしたが、それをさらに拡張して、その周りに防壁を作った。
防壁は、土地を開墾したときに大量に伐採した木を使った。
それでも木が余ったので、家を建てた。
途中から夢中になってしまって、数えきれないくらい建てた。
人が、俺とリーネさんしかいないのに、家がたくさんあるのはちょっとだけ不気味だ。
それと、植えた野菜や薬草、毒草などを収穫した。
サバクリでは、ゲーム内時間でだいたい三日程度で、作物が収穫できるようになるから、現実ではありえないほど早く、食物が増える。
従って、俺のイベントリに入れると鈍足化するほどなので、沢山ある家の一つに、収納ボックスというアイテムをみっしりと設置した。
収納ボックスは、プレイヤーがイベントリ内のアイテムから、直接収納ボックスの中にしまえ、プレイヤーのアイテムを保存しておく役割がある。
収納するときは、収納ボックスの蓋を開けるのはなく、タッチするとイベントリみたいなタッチできる薄いパネルのようなものが浮かび、それに、イベントリを開き入れたいアイテムを指でタップし、指をスイ~っとスライドさせ、収納ボックスのパネルに入れると、移せる。
それなので、収納ボックスの蓋を物理的にあけたら、中はどうなってるんだろうと俺は思ったので、開けてみると、中には何も入ってなかった。
これは、俺がパネル上で物を入れるのと、現実の中で収納ボックスに物を入れる、二重の活用法ができそうだ。
それと、家をたくさん建てたので、リーネさんが一人で住む家をあげることができたのも、朗報の一つだ。
実は、家の周辺を拡張し始めてから、今日で、5日経ってる。
その間も、リーネさんはずっと落ち込んでいた。
最初の頃は、可哀想で、心配だったが、さすがに、五日間も落ち込んでいる人と一緒に生活してると、申し訳ないけど、気が滅入っていたところだったので、家を建てて、よかったなと思っている。
しかし、リーネさんのことを、嫌に思っているわけではない。
むしろ、しょうがないことなので、なにか、立ち直る切っ掛けがあればな、と思っている。
しかし、集団生活をしているなら、人と関わることで、喜怒哀楽が生まれるのだろうが、二人しかいないのでそれもない。
「どうすればいいんだろ」
そう呟くと、とつぜん、防壁の門の向こうから声がした。
「すみませーん!この門をあけてもらっていいですか?数日前森の中の村が襲われてしまって」
「!!、今、あけます!」
そう言うと、俺は、門のそばまで駆け寄り、錠を開ける。
すると、そこには、十数人のエルフの集団がいた。
代表者らしきエルフが前に出てきて、こういった。
「ありがとうございます。私は、エルフのソレイヤと言います。失礼ながら、お願いがあります。私たちを、この壁の中に入れてくれませんでしょうか?」
「いいですよ。それより、ソレイヤさんはリーネという名のエルフの少女を知ってますか?今ここの壁の中にいるんですが。おーいリーネさ~ん」
そう、叫ぶと、家の中から、リーネさんが出てきた。
すると、すぐに、こちらに気付き、駆け出して来てソレイヤさんに抱き着いた。
会いたかった、生きててよかったと泣きながら、ソレイヤさんに行っていたので、その間に、後ろのエルフの人たちを壁の中に入れ、家の方に案内をしておいた。
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