第10話うっかりミス


エルフのお嬢さんに飯を食いながら話を聞く。


聞いた話を要約すると、この世界は、どうやらサバクリの世界とまるごと同じわけでは無いらしい。


このお嬢さんから聞いた限りでは、このあたりの地形はサバクリの初期リスポーン地点の地形と同じだった。

他の地域の地形は、お嬢さんがこの森から出たことがなくて、知らないから分からなかったが、この地域だけが、サバクリと同じ地形とは考えにくいので、おそらく同じだと予想してみる。


お嬢さんとは、意外なことで話が盛り上がった。

それは、この森にある採取スポットだ。

この森には、初心者には欠かせない低級ポーション類の材料となる、薬草がたくさんあるので、その採取スポットについて聞いたのだ。

そしたら、あの薬草は見つかりづらい(ドロップ率が低い)、あの、薬草は多く手に入るが使い道が限られる(ドロップ率が高いが、用途が少ない)などの話で、盛り上がったのだ。


ただ、それも、俺がボロをだすまでだったが。



~~~~~~




「あそこの崖の上の薬草の群生地って、モンスターに襲われやすいですよね~。俺なんて、でっかい猪のモンスターに襲われて、崖下まで落ちて死んだことあるんですよ~」


「え?死んだことあるんですか?」


ヤバッ!

相手が、プレイヤーだと思って、つい気楽に話過ぎた。

ゲームの時のサバクリの友達と話している感覚で話してしまった。


「いや!じょ、冗談ですよ?」


「で、ですよね!死んだのに生き返るなんて伝説のプレイヤー様みたいだもの」


今、なんて言った?


「すみません、もう一度言ってもらっていいですか?」


「え?死んだのに、生き返るなんて伝説のプレイヤー様みたいだもの?」


「プ、プレイヤーがこの世界にいるんですか!?」


思わず、エルフのお嬢さんににじり寄ってしまう。


「ど、どうしたんですか?いきなり」


「伝説のプレイヤー様について詳しく教えて貰ってもよいですか?」


「は、はぁ、いいですよ。

 プレイヤー様はこの地に降り立って我がエルフ族の祖となったお方です。

 プレイヤー様は容姿が大変優れていて、ゲームと呼ばれる世界から来たといわれています。そして、プレイヤー様は、ドラマチックな冒険譚と恋愛の果てに、人族の男性と交わり、子をなしたそうです。

その御話はエルフ族ならだれでも知っている、子供の頃から聞かされるお話なんですよ。

産まれた子は母親であるプレイヤー様と同じく、耳が長くそして容姿が人族より優れていたそうです。プレイヤー様はその子供と自らのことをエルフ族と称しました。

産まれた子供は女の子だったのですが、容姿が優れていたため、人族に狙われ、最終的には人族の王に強引に奪われたそうです。

そのことに嘆き悲しんだプレイヤー様はこの大森林に身を隠し、子をなくした悲しみを埋めるように、たくさんの子を作りました。その子供たちの子孫が大森林に住まうエルフなのです」


「そ、それで、あなたの種族の成り立ちは分かったのですが、プレイヤー様個人についてもっと聞きたいといいますか。例えば、プレイヤー様が生き返る時はどんな感じで生き返ったりするのですか?」


「プレイヤー様がご存命だったのは1000年前なので、いくらエルフ族が長命だといっても、寿命は長くて200年なので、あまり詳しいことは伝わっていないのですが……プレイヤー様が死ぬと、その日、プレイヤー様が起きたベッドから復活なさるそうなのです」


「そうなんですか。興味深いですね」


プレイヤーと名乗る人物は、おそらく、サバクリじゃないゲームから転移してきた人物だろう。

おそらく、種族を選べる、キャラメイクできるゲームから転移してきたのだろう。


「お話を聞かせてくれてありがとうございます。

 どうぞ、お疲れでしょうから、そのベッドをお使いください」


「いや、そんな悪い「僕はもう一つベッドを作りますから」ですよ……え?」


俺は、ベッドを作る。そして、設置する。


「え、ええぇぇええぇぇえぇ!!な、何したんですかぁぁぁああ!!?」


あ、やべ、やっちまった。


「こ、これはですね……秘密です」


「そ、そうですよね。自分のスキルは普通他人に話しませんものね」


「さ、さぁて、寝ますか。こんなむさ苦しいところですみませんね」


俺は話に困り、話をずらす。


「ふ、ふつつかものですが、よろしくお願いします」


そう言ってエルフのお嬢さんは服を脱ぎ始めた。





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