第11話タダではないと言ったけども
「え?ちょ、ちょっと、何いきなり服脱いでいるんですかぁぁぁ!!」
俺は動揺して、赤面しながら大きな声を出してしまう。
「え?すみません、お気に召しませんでしたでしょうか?」
「いや、お気に召すとか、お気に召さないとかじゃなくて、何故脱いだのですか?」
「タダではないんですよね……奴隷化だけは、奴隷化だけはゆるして下さいっ!
その代わりと言っては何ですか、一晩お相手するので、どうか、どうかそれだけで、許してくださいっっ!!」
「ちょ、ちょっと待ってください。奴隷化とか、一晩お相手とか、話についていけてないのですが、ひとまず、落ち着きましょう?私は、何もしませんから。
タダではない……、あ、そうか、タダではないといったのは、情報を教えてもらうので、タダではないと言ったんですよ!」
「ほへ?……」
「もうすでに、お話を聞かせてもらったので、あなたは何もする必要はありませんよ」
「……あ、ありがとうございますっ!!人族の方はエルフを奴隷にして、貴族に売り払ったり、エルフの体を要求する人ばかりかと思っていましたが、そうじゃない人もいるんですね!よかったぁ~」
「こんなむさ苦しい男と一つ屋根の下で眠るなんて、嫌でしょうが、もう、日も暮れて辺りは暗くなっている、こんな状況であなたを外に出して、モンスターに襲われでもしたら、寝覚めが悪いですから、どうぞ、泊まって言ってください」
「ご丁寧にどうもありがとうござ会います。こんな、見ず知らずの私によくしてくださり、感謝の念でいっぱいです」
「袖振り合うも他生の縁といいますので、どうか、気にせずにお過ごしください。
それでは、おやすみなさい」
そういって、俺は明かりを消した。
~~~~~~
夜、なにか音がしたので起きると、エルフのお嬢さんが眠りながら泣いていた。
「お父さん……お母さん……」
そうだよな、彼女は住んでいた村がモンスターに襲われたって言って、ここまで逃げてきたんだものな。
最初は、疲れからと、家を見つけた安心さで俺の家で寝てしまったのだろう。
しかし、起きたら俺がいて、話をして、体まで要求されたと思っていたのなら、その心労はいかほどのものだろうか。
俺には、想像は出来ない。
その代わりに、彼女の涙を指で取り、頭を撫でてあげることしかできなかった。
~~~~~~
「おはようございます!」
彼女は一晩眠って疲れが取れたのか、元気に挨拶してくる。
「あぁ、おはよう。今日はどうするんだい?
でも、村の跡地に行くのはやめた方がいいかもしれない。まだ、モンスターがうろついてるかもしれないからな。
まぁ、何をするにしても、俺は、貴方に協力しますよ」
「!!、あ、ありがとうございますっ」
「なぁに、俺がすべきことは急いでやる必要もないから、気まぐれに付き合うだけだよ」
事実、俺が言った通りだ。
サバクリには、NPCは、モンスターくらいしか登場せず、人型で、話ができる生物なんていなかった。
拠点の増築はした方がよいが、それは今すぐすべきことではない。
それよりも、現地のエルフとコネクションを作る方が大事だ。
彼女からは情報は少ししかわからなかったが、彼女よりも、長く生きているエルフなど、他にも、多数の人から話を聞けばより、この世界のことが知れるだろうから、けっして、慈善事業ってわけではない。
彼女が、この世界のことをすべて知っているわけではないからな。
「じゃあ、まずは朝飯を食べながら、今日することについて話そうか」
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