第12話ゲームが現実になった時の仕様

「今日は何をするか、予定を立てましょう。なにかしたいことはありますか?」


「む、村の皆を探しに行きたいです!

あの、その、危険なことは分かっていますが、村の周辺を一緒に探してくれませんでしょうか?」


「いいですよ。

 あ!そうだ、貴方の名前を聞いていませんでしたね。

 貴方の名前をきかせてもらってもよろしいでしょうか?」


「すみません、そういえば、言ってませんでしたね。

 私はリーネ・エルヴンと申します」


「俺の名前は……」


どうした、俺。

自分の名前が思い出せないだと。

俺は、地球という惑星の日本と言う国で生まれ、サバイバルクリエイトと言う、ゲームが好きな男だ。

どうしたのか、年齢も思い出せない。


「すみません、俺、自分の名前が思い出せないんです。

 一昨日、気付いたらここにいて、記憶がないんです」


「そうなんですか、それは大変ですね。もしかしたら、貴方様は稀人なのかもしれませんね。プレイヤー様も、稀人だといわれているんですよ。稀人は、違う世界からこの世界に迷い込んできてしまった人なんですよ。そして、その人たちは、この世界の人間にはない、類い稀な能力を持っているので、そう呼ばれているんですよ」


そうなのか、自分の記憶がないというのは若干ショックではあるが、これでこの世界には、俺以外の転移者がいることが分かった、そのことだけは朗報だ。

しかし、この世界の人にない、たぐいまれな能力を持っているということは、他人から妬まれたり、目を付けられやすいだろう。自分のことを過大評価しているわけではないが、気を付けた方がよいだろう。


「そうなんですか、では、俺は、稀人なのかもしれません。教えてくださり、ありがたいのですが、そのことは、他言しないようお願いします。

 それで、村の周辺で、村人の方を探索するのはいいのですが、何か、武器でも持っていますか?それか、使える武器はありますか?」


「はい、弓を少々使えます。ですが、逃げるのに、必死で今は持っていません」


「弓なら僕が作れますので、ちょっとまってください」


そう言って、俺は弓をクリエイト画面で創る。

昨日、木を伐採したときに、ここらへんで手に入れられるアイテムはあらかた採っておいた。

なので、弓を作る材料はそろっている。

ちなみに、レベルも採取することによって、上がっている


「え?弓を作るのを待っていたら日が暮れて「出来ました!」しまいます……って、ええぇぇぇえええ!!

 いま、今の間に、弓を作ったのですか?なにも、作業していたようには見えなかったのですが。あ!わかりました!アイテムボックスのスキルを持っていて、そこから、作ってあるのを取り出したんですね!」


「いえ、これは俺の稀人の能力で、今、作りました」


「あ、そうですよね、稀人ですものね。それに、スキルを詮索するようなことを言ってしまいすみません。昨日も、おんなじようなことを言った気がしますが」


「すみません、その、昨日から気になっていたんですけど、スキルってなんですか?」


「?……あ、そっか。この世界では、自分の努力した結果や、才能がスキルとして、現れるのですよ。まぁ、種族や、国家によって、現れやすい、スキルとかも違うらしいのですが、外から、来たエルフに聞いた話なので、本当かどうかは分かりませんが。

ステータスも、種族や、国家によって、違うらしいですよ」


ほう、なるほどな。

何故、種族や、国家によって違うのだろうか。


「俺は、この世界で、当たり前なことが分からないので、質問が多くなってしまうかもしれません。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」


「あの~、もう、敬語やめません?私、森の外に出たことが無くて学がないので、あまり、敬語使うのが、上手じゃないんですよ。それに、なんか、壁を感じるじゃないですか!」


そういうものなのか、俺は相手に敬意をもって接するためや、初対面の人には自然と敬語を使ってしまうものだと思っていたから、これは文化の違いか、個人間の認識の差なのだろう。

やめよう、と言われてまで、無理に自分が、敬語を使いたいから、使うとなっては相手に敬意を表す敬語の本質を見誤っているので、敬語を使うのはよそう。

こういう考えができるということは、俺は、社会人だったのだろうか?それとも、大人ぶった子供なのか。


「わかった。敬語を使うのはやめよう。この弓を貸すので、何か問題があったら、言ってくれ」


そう言って、俺は、弓を渡す。


「あの~」


「何か問題があった?」


「矢が無いです~」


俺は、急ぎ矢を50本作って渡す。


「こんなに渡されてももてません!矢筒とかはないですか?」


矢筒、サバクリにはそんなものなかった。

矢はインベントリに入れて置けば勝手に弓を引くときつがえられていた。


「ちょっと、弓と矢を貸して」


俺は、弓を持ち、矢をインベントリに入れる。


そして、弦を引こうとすると、矢が現れる。

家の外に出て、近くの木に向かって撃ってみる。

そして、二本目を撃とう思い、弦を引こうとすると、自然とインベントリから出て、手の中に現れる。


そういえば、ゲームの時は手に持てるアイテムは、ボタンに設定したりしておけば、急いでいるときにそのボタンを押せばそのアイテムを手に持つことができた。


弓を持っているが、「槍よでてこい」と念じてみる。


弓が自動で、インベントリに収納されて槍が出てくる。

この機能は使えそうだ。


「あの!どうしたんですか?」


家から、一緒に出てきたリーネが言う。

そういえば、検証に夢中で、彼女を放置していた。


「すまん、すまん。矢筒だったよね、もう一つ試してみたいことがあるからちょっと待って」




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