第9話この世界の違和感

「エルフなのか?」


俺は、今、非常に驚いている。

エルフがこの世界にいることに。




サバイバルクリエイトはシングルプレイヤーゲームとしても、遊べるし、マルチプレイヤーゲームとしても遊べる。


モードを変えればどちらでも、遊べる。

ちなみに、マルチプレイヤーゲームとして遊ぶときは、ノーマルモードで遊ぶことしかできない。

俺も、一時期、マルチプレイヤーゲームとして、遊んでいたが、自分のテイムしていたモンスターがログアウトしていた時に、殺されたり、森が無計画に伐採されたり、荷物が盗まれたりして、散々だったので、それ以来やっていない。


この世界は、イージーモードなはずだ。

だから、もし、マルチの状態が現実になったとしても、マルチの難易度はノーマルモードなので、それはおかしい。



それに加えて、サバイバルクリエイトにはエルフは存在しない。



さらに言えば、ドワーフも存在しないし、獣人も存在しないはずだ。


おかしい、俺は今まで、この世界はサバイバルクリエイトのイージーモードが現実になったと思っていた。

でも、それは違うのか?


ここで、考えていても埒が明かないので、まずは、この不法侵入エルフにこの世界のことを聞いてみるか。





~~~~~~




「あの~、すみません」


と言いながらゆさゆさとエルフの体を揺らす。


触っている場所は布団から出ている腕だからな。

断じて、眠っている女性にいたずらしたいなんて欲望は無い。


美人だな。という感想を抱くと同時に、人を起こすときの難しさや、気恥ずかしさも感じる。


なんで俺が気恥ずかしい思いをしなくちゃならんのだ!


相手が女性で、しかも、この世界で最初にあった人間でなければ、こんなに丁寧に扱ってないのに!


俺が、一人悶えていると、女性が目を覚ます。


「ふわぁ~……よく寝た……。

 って!!あなた誰!?」


え、えぇ~。

それ、こっちのせりふなんですけど~。


「すみませんが、私の家のベッドで寝ている貴方様こそどちら様なんでしょうか?」


俺は、若干引き気味になりながら、下手に出つつ素性を伺う。



「あ!しゅみましぇんでした!……

 ゴホン、すみませんでした。

 実は、昨夜モンスターが森の中の私の村を突然襲ってきまして、一晩中走ってここまで、逃げてきたんです。そしたら、ここに、立派な家が建っていたので、無礼を承知で、ベッドをお借りしてました。すみません。

 さっきは、寝起きで動転してしまいました。すみません……」


「わかりました。それは災難でしたね。今、ごはん、といっても焼いた肉ですが、それを用意しますので、ベッドにおかけになっていてください」


「あ、ありがとうございます!こんな、見ず知らずの私にそこまでしてくださり」


「いえいえ、タダではありませんから」


「!!、分かりました」



俺は、この時、この世界の情報をもらうつもりで、タダではないと言ったのだが、後にこのタダではないという言葉が一悶着起こす。



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