貴方は必ず、登場人物たちを応援したくなる。

剣道部員たちの活躍を描いた青春オムニバスです。

「俺、剣道はおろかスポーツにすら関心ないんだけど」そういう人が、ひょっとしたらおられるかもしれません。かくいう私も、スポーツは体育の授業を除いてやったことなどありませんでしたし、スポーツ観戦もしたことがありませんでした。ましてや、特定のスポーツ選手を応援する人の気持ちも、今まで理解できなかったのです。

この小説の凄いところは、そんな私でさえも、登場人物たちのことを応援していたというところです。ぜひとも敵に打ち勝ってほしい、もっと強くなってほしいと、心からそう思えたのです。そしてその気持ちに陥ってしまえば、あとは読む手が止まりませんでした。

人はみな、自分に何かしらの劣等感を抱えています。そんな自分の弱さを認めつつも、少年少女が竹刀を握ったとき、彼らの中にはどのような感情が湧いてくるのでしょうか?

不安、落胆、鬪いの前の緊張――。

己に向き合う心、友情と恋――。

第一章では、日本一の美少女剣士が前代未聞の強敵に出会うさまを。

第二章では、才能に伸び悩む少女の恋心と剣道に対する揺れる思いを。

第三章では、とある少女と破天荒すぎる少年との出会いを。

第四章では、プレッシャーに弱い少年の成長と、彼を応援する部員たちとの友情を。

確かな文章力で彼らの心情と鬪いとを描き、応援したくなるキャラクターたちによる青春活劇として著者は本作を成功させています。

是非とも、竹刀に込められた彼らの熱い思いを体感してみて下さい。

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