才能とはなんなのかと考えたことのあるひとは必読

才能とはなんなのか——突き抜けたオリジナリティなのか、創り上げたスタイルなのか、天賦の素質なのか、努力できる強度なのか、継続できる資質なのか、何度でも立ち上がることなのか、群れないでいることなのか、人に盛り立てられる力なのか、売れることなのか、ひとりにでも深く届くことなのか——痛いほどのたうちながら、捜し求めた軌跡を、この作品には感じます。その答えを深く求めたことのあるひとほど、作者が考えたことの痕跡を多く見つけられるのではないかと思います。
ふたつの才女が、対比的に付置され、才能について真剣に語り合います。時に緊張感を醸し、一方が謳えば一方が支える、二重協奏曲を聴いたような読後感があります。
別作品のヒロインである、章子のキャラクターはやはり出色です。なにげに小塚くんが一般人には十分説得力を持つラインを保っていることが、二人の才女のいる次元を際立たせる、いいコントラストになっていると思います。

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