結露した窓やガラスが、不気味に思える時ってありますよね。普段は見えるものが見えないからなのでしょうか。そんか得たいの知れない恐怖が、このお話にも漂っています。手で拭った結露の先――物語のラストに何が待っているのか、皆さまもぜひご堪能くださいね。
曖昧模糊とした物語の輪郭が立ち上がるにつれ、来たるべき読みたくない結末へストーリーは加速していく。読みたくないのに読まされてしまった、そんな話でした。
ホラーなんてお酒飲みながら旨味にすれば怖いことなんてないやー!そう思ってた時が僕にもありました。チューハイを空腹のままに三口煽って「よし、つまみにホラーだ!ホラー!」と読み進めていくと、酔いは覚め、むしろ酒を飲んでいた事実が徐々に徐々にと恐怖を肌の上に重ねていく。また一口煽って脳を弱らせても、理解した脳はもう止まらない。二口三口四口と酒を進めるばかりに虜になる。そんなホラーをあなたも堪能あれ。きっと、一缶飲み終わった時にあなたは真の恐怖と対面する。
結露が結ぶラストへのいざない。都合よく報われる瞬間などはないと、主人公がどこか悟っているその人生の苦さがほどよくリアル。するすると不穏な空気をバトンしたラストは想像以上。怖さだけでなく、複雑でかつあたたかい人の業も、ずっしりとした手応えとして感じました。よかったです。