「八王の乱」、「永嘉の変」、「西晋の滅亡」の全貌が小説で明かに

三国志演義やそれを元にした小説、他のメディアを読んで「三国志」に嵌まった人が必ずぶつかる壁がある。

当然、その後は正史である三国志の翻訳にいくだろう。ネットの記事では満足できず、ちくま文庫の翻訳や本屋にある関連本、図書館まで行くかもしれない。

しかし、数年もすれば気付く。「三国志の続きって、なんか、よく分からなくない?」。ネットや本屋で見ても、詳しい説明はないのである。

三国志に詳しいサイトもより三国志の内容を詳しく解説するものが多く、その前後の時代の説明には冷淡である。

「八王の乱」はどういうものであったのか。
「永嘉の変」って匈奴がモンゴルの方から攻めてきたの?
「西晋の滅亡」ってあっさり滅ぼされたようだけど、匈奴はなぜ、赤壁の戦いみたいに南に攻めなかったの?

実際、私も学生時代よく分からなかった。この謎が判明したのは図書館で「通俗二十一史」シリーズの一部である『通俗續三國志』と『通俗續後三國志』を読んでからである。ただし、本書は漢文書き下し文で書かれていたため、漢文がさほど得意ではなかった自分には難解であった。

今回、河東さんが『通俗續三國志』の翻訳に続いて、『通俗續後三國志』の現代語翻訳をされる。前編とあるが、これは西晋の滅亡までを扱うもので、三国志好きの知りたかった部分のほとんどが含まれる。後編は、ほとんど五胡十六国時代に入るもので、知識としては別の範疇である。

もちろん、史実とは異なるところも多いが、いきなり資治通鑑や晋書の原文や翻訳に向かうより遥かに取っつきやすく、理解が深まるであろう。

さらに劉淵率いる匈奴がモンゴルなどの中国北部の草原から攻めてきたと説明する人も多いが、実は内地から起こっているのでこの小説の方がそれよりも史実に近いことも一言付け加えておこう。

もちろん、飛ばし読みの十分にありである。だが、これを読み終えた後は、歴史書なり解説書を読んでも理解がしやすくなっているはずである。

しかし、小説は面白いに越したことはない。これを読んで、お読みになった方々が、楽しんでいただければ幸いである。