凶悪犯も腹黒いヒロインも恐いけど、一番恐いのは人の心の脆さ

富士見L文庫刊『飯テロ 真夜中に読めない20人の美味しい物語』に収録される『どちらかが彼を〇した』のずぼら系ヒロイン(ただし中身はダーク)の忠岡悲呂さんが再び登場です。

今回も徳憲警部がヒロさんの手のひらの上で転がされております。本当にもう、コロコロに(笑) ヒロさんが胡散臭すぎます。まあ、ずぼらだからお風呂にずっと入っていなくて別の意味でくさ……うわっ何するやめry

ヒロさんはずぼらだけど可愛いヒロインです。きっと髪の毛をかいだらいい匂いがするはずです(^ω^)

冗談(?)は置いておいて……。

ずぼらで腹黒いヒロインもとても魅力的なのですが、今回は「こんなキャラが本当にいたら我が国の科捜研はヤバすぎる……!」とドン引きしそうな濃ゆいキャラクターたちも物語を賑やかしてくれています。
特に、常時欲情している愉悦ペアの二人がこれ以上活躍しちゃうと、この小説が18禁になってしまうかも知れません。あだ名が「エッチ休憩」とかふざけてるのか!?

……さすがは濃ゆいキャラクター(変態とも言う)を生き生きと描くことに定評のある織田さんです。さす織田……。

こんな感じでキャラの濃ゆさを全面に押し出してくれているおかげで、捜査パートではいっさい「飽き」や「中だるみ」みたいなものを感じないのは織田さんの別作品『よくある兄妹』シリーズでも同じです。

そして、織田さんの作品といったら「心理学」。
今回も人間の心理が捜査を左右してしまうわけなのですが……。
一番恐いのは、凶悪犯や腹黒いヒロさんではなく(もちろん両者とも十分恐いけど笑)、人間の心の脆さだなぁ……と思いました。
私が作中のどのあたりを読んでそう感じたのかはネタバレになるので言えませんが、読み終えたみなさんもきっと人間の心がいかに頼りないかを知って身震いするでしょう。
今回の「心理学」を用いたストーリーは、織田さんの過去作の中でもかなり説得力があって洗練されているのではと個人的に思います。


織田さんが鍛えに鍛えた「心理学」の刃が、読者のハートを襲う! けっこうダイレクトに!
最後の最後まで油断ができない、腹黒いヒロインと事件の捜査をあなたも存分に味わい、ラストで震えてください!! おススメです!!

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