雨と歌と悲しみの場所

そこに光はあるのか……、どんなに願おうとも聞き入れてはもらえない。
昔語りに縛られた町の雨は、どれほど冷たかったことだろう。
交錯するのは、悲しみの涙ばかり。
救いを求める者の声が、どうして届かないのか。
白い悪魔に魅入られた世界は、ほんのわずかな光だけを残して静かに幕を閉じた――――。

とてもよく作り上げられた世界観は、そのまま映像にさえできるのではないだろうか。目を閉じれば容易に浮かび上がる鮮明さがある。
なられたものがたりには、惹き込まれずにはいられないことだろう。
同時に起きていた悲しみの行く末に、あなたも浸って欲しい。

その他のおすすめレビュー

花岡 柊さんの他のおすすめレビュー408