第11話 通り越す
なにかが通り越していくとき、わたしたちはその巻き起こした風や砂塵やニオイに、顔をしかめる。
おまえなんかに構っている暇はない。そう言い放って先へ向かっていったあいつ。
通り越すときに、油断をしてはいけない。投げつけた石が、たまたま当たることだってあるのだ。言いたいことを言い終わらぬうちに、石が当たってガードレールに激突し、いま追い越していったはずの者たちに嘲笑を浴びながらくたばっていくのだ。
わざわざ路肩に止まって、滑稽にも腹を見せてひっくり返ったそいつを眺める。唾を吐きかけてやる。くたばり損ない。
救急車? ああ、呼んでやったよ。
見ていてやろう。おまえが楽になるところを。そう、手遅れだもんな、そんなに出血してるんじゃ。
まだ聞こえないな、サイレン。
もうムリだろう。くたばれよ。
ざまあみろ、だ。
その時、路肩にいた事故車両と助けようとした仲間のところに、居眠りをしていたトレーラーが突っ込んで行くのだった。
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