これは踏み出す勇気の物語

「天蔵」のある生活。
欲しいものが何でも無料で手に入る暮らし。働く必要もなくて好きなことだけやって生きて行けばいいなんてまるで楽園です。
しかしその過剰に行き届いたサービスの充実が、逆に不安を駆り立てます。

あっけらかんとした少女のような律歌と、いつも優しい北寺のほのぼのとしたやりとりは、作品の大きな一つの魅力で、次第に鮮明になってくる「天蔵」サービスがまとう不可解な闇の中で、最後まで輝いておりました。

読みやすい文章で読後感も良く、意味深いテーマも作品に厚みを出していて、素晴らしいお話でした。

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