遅すぎた脚光

 この文章が君の目に触れているということは、極めて特異な状況を意味する。つまり――「妖精の辞書」がコンテストで受賞の運びになり(ありがとう)、しかも私がすでにこの世にいないということだ。遅すぎたのだ。
 だが実はまだ一つだけチャンスがある。君の背後の空間に黒い穴があるはずだ。それは三年前の私の部屋につながっている。賞金を持って飛び込みそれを私に届けてほしい。それだけで、すべては好転する。

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