「レベルが違うんだよ!!」

32話まで拝読させて頂いてのレビューです。

「ルウェーーーベルが違うんだよっ!!」

セルリアンブルーのマット上で、そう巻き舌で吠えていたのは某人気プロレスラーの悪徳マネージャーだったでしょうか。レベル? それともレーベル? いきなり意味不明な書き出しで申し訳ございません(汗)ですが、この作品の魅力並びに作者様の筆力を端的に言い表すと、正にこのひと言に尽きます。

舞台は刑務所。謎めいた猟奇的殺人事件。犯人に似つかわしくない優男の容疑者。その妻であるミステリアスな麗しき女性。男の好奇心をくすぐる展開。複雑に絡み合う人間模様。二転三転するどんでん返し。からの驚愕の真相などなど。それらが硬質でありながら理解しやすい文体で綴られています。

事件の謎を追うのは生真面目でウブな刑務官・鮎京と、一見チャラいが切れ者の常勤医・城野。登場人物も魅力的で、ホームズ・ワトソンスタイルのバディものとしても堪能できます。容疑者である「青山」をはじめ、各々の名前に込められた意味も見逃せないところです。

まさに王道の社会派推理。確かな医療知識と知性と筆致と、そして綿密なプロットによって綴られる魅惑の銀鏡ワールド。ラノベで異世界なネット小説という大海原のリングの上で、そのレベルを圧倒的に凌駕した至極の本格推理小説をとくとご覧あれ。

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