黒き風、数多の希求を薙ぎ、新たな世界を築かん

読み終えた後、まるで数年もの時間が経過しているように感じました。

争う二つの国の狭間に翻弄され、しかし自らの生きる糧を見出そうと懸命に疾走り抜く少年と少女。
この二人を主軸に、様々に渦巻く思惑と混迷する……いや、混迷させられた世界情勢が、史記を紐解く形で語られていきます。

綿密に描写された背景と精緻に凝らされた世界観は、圧巻の一言。
架空の物語ではなく、『真の物語』をこの身で体感しているような錯覚すら覚えました。

それを伝え書く作者様ならではの大胆な筆致は、まさに『暴れる風』。
動乱に荒れ狂う旋風を、胸に、五感に巻き起こします。

私の稚拙な言葉では伝えきれませんが、この物語に出会えて本当に良かったと心から感謝した、至極の作品です!

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