気づいたら一気読みしているという恐怖。

あの日……私は、すっかり忘れていた父の誕生日プレゼントを買うために家を出ました。
しかし、そのときまだ朝の8時。店はまだ開いていません。
ああ、困ったなあ。そうだ、店が開くまで、小説を読もう。
そうして、この『灯籠の村』を読み始めたのです……。

ああ、それからのことは、恐ろしすぎて言えません!
大学生二人が、ややムフフな目的で行った旅行先……雨の山道、ガス欠の恐怖、そして見えた一筋の光。
そう!それはまさしくホラーの導入!これはホラーですと言わんばかりの王道な導入!
その時点で、私はすっかり捉われていたのです、この村に!
そして見たのです……

エロス

その真髄を。
ホラーといえばエロス。エロスといえばホラー。
どこまでも王道を突いてくるこの作品。
それが、上手い。上手すぎる。

なぜ、なぜ止まらないの、ページをめくる手が!?
私は焦りました。いつの間にか、店が開く時間は迫っています。なのに、ページはまだある。
いけない。
私は、父の誕生日プレゼントのために……ああ、でも……

やめられない止まらない!!

……気づけば、最新話まで読み終わり、そして、レビューまで書いていました。
もはや、父の誕生日プレゼントなどどうでもいい……。
なんて、なんて恐ろしい小説なのでしょう。
時間のないときにこの作品を読んではいけません。
決して。
読み始めたら最後……あなたには、逃れられない恐怖が待っています。

そう……

気づいたら一気読みしているという恐怖がね!!!!

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