第7話 ハーレムの中の拷問

 結局エリちゃんは帰ろうとせず、三人で寝ることになった。 





 …………





 ……俺は今、どうすればいいか、猛烈にわからないでいる。





 日本語としておかしいとは思うが、本当にどうすればよいのかわからない……





 電気を消した部屋のベッドの上で三人が川の字。俺はロリっ娘二人の間にはさまれている。右の壁際にミオ、左側にエリちゃんがそれぞれ、俺の腕枕うでまくらで気持ちよさそうに寝息を立てているのだ。


 時刻は明け方の4時、カーテンの向こう側が白み始める頃。


 女性にはわからないかもしれないが、健全な男子にとって、仕事で疲れ、眠れないこの時間帯は、なぜか下半身に血液が流れやすいようで、それは男性としての象徴シンボルを膨張させる作用を伴い、股間にピラミッドを構築するとともにその神秘の力のせいで感情が高ぶり、いろいろとのである。(俺はムラムラタイムと呼んでいる)


 そんな状態で好みのロリっ娘二人に両サイドから迫られ、しかも手出しできない、というこの状況シチュエーションは、拷問以外のなにものでもない……





 いつ仕事が入るかわからない中、貴重な睡眠時間を確保しなければならないのに、なんとかして寝ないと! とあせればあせるほど逆に目が冴えてしまうという悪循環……





 …………




 だめだ! 寝られん!





 二人に気づかれないように抜け出さなければ……





 とりあえず、ミオの頭の下から腕を抜くか……





 そっと……そおーっと……





「う……ん」





 くそっ! ミオのやつ、寝返りうちながら俺の手のひらに指を絡めやがった!





 ……しかたない、エリちゃんのほうを――





「はぁ……ん」





 ううっ……エリちゃん、俺に近づきすぎ! 吐息が顔にかかるんですけど!


 そして変なところに手を置かないでーっ! 下半身に力が入っちゃうーっ!!





 「うーん……………………zzzすーっ……zzzすーっ……」





 な……なんとか暴発は避けられたようだ……


 変な汗をかいていたら、エリちゃんが寝返りをうってくれた。





 今のうちに、こっそり腕を……





 ――ペロッ!





 ……ミ、ミオさん、俺の指をめないでください。気がおかしくなりそうですー!





 ――レロレロッ!





 あっ! エリちゃん! 指の股はダメっ! そこはダメなのっ!





 ――ペロペロッ!

 ――レロレロッ!





 ……いや! いかん! いかんぞ小太郎! ここで自己を律することができねば、一流の忍者にはなれぬぞ!




 

 そう自分に言い聞かせ、歯を食いしばりながら耐える……





 ……のだが





 ――ペロペロッ!





 ――クチュクチュ!





 ――チュパチュパ!





 ……お前ら、わざとやってねーか!?





 と思った瞬間、右手の小指にミオの歯が突き刺さった。





 ――がぶっ!!




(ぎゃあああああっ!!)




 あまりの痛みに声にならない叫びをあげ、白目をむいて気を失った俺は、下半身がどうなっているのか不明のまま、夜まで目覚めなかった。

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