第13話 流れ着いたその先に

「あれ? ここは……」


「気がついたか?」


 目覚めたミオに声をかけた。



「このベッド……私の……部屋?」


「ああ。宝珠でこの世界は救われるそうだ。良かったな」


 ミオの解呪でそれまで詰まっていた経路が開き、押し流された俺たちは無事、ミオの世界に辿り着いたらしい。



「そ、それより、コタロー……あ――」


「気にするなよ。大丈夫だから」


 左足のない俺を見て言葉を失うミオに、俺はできるだけの笑顔を向けた。



「……ごめんなさい……コタロー……本当に……」


「ば、ばか、泣くなよ! まるで俺がお前の事責めてるみたいじゃねーか!」



「だって! 私があなたを連れてこなければ、こんなことには――」


「むしろお前には感謝してる」



 俺は自分に言い聞かせるように答えた。



「なんで? なんでそんなことが言えるんですか?」


「道久のことをずっと引きずってた。あいつが死んだのは俺のせいだ、って。だけど今回わかった。自分が何かの犠牲になりさえすればつぐなえるわけじゃない。失ったものが元に戻るわけじゃないんだ」


「ですが私のせいであなたの足は失われた、そうじゃないですか! もうコタロー働けないじゃないですか!」


「違うし! それにお前には俺と同じ思いをしてほしくないんだよ。お前のせいじゃねーからさ」


「私が……一生かけて償いますから」


「まてまて! なんでそーなる!」


「どっちの世界で暮らすにせよ、これからは私がコタローを守りますから!」


「は?」


「私、コタローの代わりに働きますから! 私が食べさせますから!」


「いや、あの……ミオさん?」


「こう見えて甲斐性はありますから!」


「そうじゃなくて……その……」


「お願いですから! コタローと一緒にいさせてください!」


「え……っとその前に、回復魔法でこの足をくっつけてもらえませんかね?」


「え?」


 俺は切断された自分の左足を取り出した。


「ミオならできるよって、ご両親から聞いたんだけど。今のところ魔法で応急処置だけしてもらってるんで――」


「ちょ、ちょっと! なんですかそれ! ちゃんと持ってこれてたんなら先に言ってくださいよ! めちゃくちゃ心配したじゃないですかーっ!」


「だから言ったじゃ、って痛い!」


 ぽかぽか叩かれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る