音楽とちょっと癖のある脳と恋未満の恋

もう、とにかく読め、の一言で良いのだけれど、それではレビューになりません。
中学生の合唱コンクールを「一風変わった男の子」と普通の女の子を軸に描き、ハラハラさせつつ、最後にはほろりと涙ぐませる——そんな物語です。音楽の知識がなくても置いていかないように気を使った組み立て。登場する少年は類稀なる才能の持ち主ですから、語り手である女の子にはわからない世界に住んでいます。けれど、「わからない世界」は彼女を拒絶することなく、瞬間、ふっと周囲の人々と触れ合う。

成長するときの不安定さと思春期のときめきを包み込むように音楽の世界が広がります。そして、そこかしこでくすくすと笑える。

だから、やはりまとめるとすれば——とにかく読め!

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