あなたの回りにいませんか? あるジャンルで飛びぬけた能力を発揮する人が。
そう、神様からその能力を与えられた(ギフトされた)人です。
そんな人を見て、アナタはどう思うでしょうか?
良いなー、おれもそんな能力があれば、アイツみたいにカッコよく出来るのに、と羨ましく思いますか?
それとも、何カッコつけてやがるんだ、才能をひけらかしやがって、と反発しますか?
でも、人間は一つの才能だけで出来ている訳じゃない。たまたま神様から、特定の才能に関してギフトされた量が多かっただけなのです。
だから、自分に無いものを持っている人に対して、羨ましく思ったり、反発して妬ましく思ったり、ましてやいじめの対象にするのは、まったく意味が無いんです。
この物語の主人公である『みさきちゃん』は、そんなギフテッドなクラスメートに対して、真摯に向き合い、心から尊敬していました。
普通は、自分に無い能力や自分より優れた能力を持った人を見ると、つい、反発してしまうのに、彼女は純粋に凄いなー、と思うだけでした。
だからこそ、最後に彼女には、神様からハッピーなギフトがあったんだと思います……
あなたも、この小説をよんで『みさきちゃん』のように幸せになりませんか?
『心が叫びたがってるんだ。』という映画を観て、好みだった!という方は、きっとこの小説もお気に召すと思います。
私的にはラストの展開は、あの映画よりも心が躍りました☆
山科くんが物語が進むにつれて、どんどん魅力的なキャラクタになっていくんです!
私も山科くんみたいな人にピアノを教わったら、もっと上手になったかも!?とか思うと、主人公が羨ましくなりました(笑)
ピアノの練習本で弾く人のレベルをはかったり、専門的な楽譜の話が沢山あって、物語に厚みを加えてくれていると思います。音楽の専門的な知識がないと書けない文章だなと思いました。
ちなみに文化祭の出し物の件でクラスに起こる不和のシーンは、自分の学生時代を振り返って懐かしくなりました(笑)
発達障害が物語の中に大きく関わってきますが、『障害のある人が出てくる話だ』と身構える必要は無いです。障害があって辛い!っていう物語ではありません。もし身構えるとしたら、海外で育った子が日本に帰ってきて文化の違いで色々あるくらいのレベルでしょうか。
読了後に間違いなく清々しくて温かい気持ちになれる作品です。
大まかなストーリーについては、他の方々のレビューにお任せするとして(おい!)……。
いや、だって皆さんのレビューすごいんですよ。もうこの『GIFT』という傑作に出会ってしまったらレビューもこんなヴォリュームになるのね!?なってしまうのね!?って、もう!
このお話にはフツーじゃない男の子が登場します。誰ともつるまない、空気読めない、その上あり得ないほど頭良い、という。ただの変わり者君ではなく、そういう頭の構造になっている、というか。
でも、でもですよ。
私に言わせればですね、これを書いてる如月さんだって、絶対フツーじゃない!
思春期なんて難しい年頃の子達をここまで生き生きと、時に残酷に書けるとか、
あんなに音楽用語が飛び交ってるのに、読者が置いてけぼりにならないとか、
しっかり感動させにくるし、
ちゃっかり恋愛で締めるし!!!
もう、山科君のあの感じ、めちゃくちゃ好きですよ、私!!
ほんと良いから、読んでください!
ほんとに!!
とにかくいい。
カクヨムで読んだ作品の中では間違いなくトップクラスだ。
この小説はまわりでとびきり評判がいい。
まわりというのは、如月芳美と交流のあるカクヨム作家たちのことである。
作者の如月芳美とはTwitter上でなんどとなくアホな話をしあっていて、彼の書籍化作品である「いち癇」ももちろん読んでいて、何度も「いち燗」と書いては「酒の小説は書いてねえ!」と怒られるくらいの仲である。俺が書いた小説に彼を強引に登場させて悶絶させたことまである。
そんな彼のファンである俺は「いち癇」以来の彼の他作品ももちろん読んでいて、如月の性癖や趣味を承知済みだ。その俺をして「おお、こういうものを書いてきたか!」と思ったのが、このGIFTであった。
中学生という難しい時期の、音楽という難しいジャンルの、アスペルガー症候群という難しいテーマ。なんという挑戦的な題材か。誰もが中学生だった時期、合唱コンクールに参加したことがあるはずだし、クラスに一人くらい、ちょっと変わったタイプの人を見たことがあるはずだ。高校生以上のほとんどがそれぞれに一家言あるはず。Web小説でこういったテーマに切り込める奴は、如月芳美以外に多くはないだろう。
当然、この手の作品に必須である、若さがもたらす差別的な発言、それに対する感情的すぎる反論と言った緊張感のある場面もある。さらには発達障害の結果得られた能力を発揮する場面も迫力があり、重層的な厚みもある。しかしこんな書き方をすると、結局、社会派気どりの意識高い系か、と勘違いするやつもいるだろうが、もちろんそうではない。如月芳美の描く世界は、そんなお仕着せがましい道徳の教科書ではない。あくまで等身大の、若い世代が持つ貴重な時間の描写で、それはナイーブでセンチメンタルな部分を押し出しつつ、しかし前向きな明るさを組み込んでいる。
賭けてもいいが、心理学や精神医学の辞書を引きながら書くタイプの社会派(笑)にこの作品は書けない。そんな純文学もどきは如月芳美の目指すところではない。彼が描くのは現代の亀裂の中の救い。今まで多くの人が目をそらしてきた感覚が、音楽をめぐる登場人物たちの行動によって浮き上がっていくことだ。しかもそれは、たとえば浅原ナオトや旭晴人といった技巧と表現に富む作家たちが描く若者たちの苦悩ともまた少し異なる、如月文学独自の筆致である。コメディ的なエンターテインメント性や、会話主体の明るい文体が魅力的なのだ。俺はそこが好きだし、感性に合致した。
発達障害に対する観点で同意できない人や、音楽の知識が求められるように感じる人もいるかもしれないが、とにかくそこは抜きにして、心を開いて最初から最後まで読んでみたまえ。なにがいいとか、なにがよくないとか、そんな重箱の隅をつつく必要はない。読めば、心が軽く、明るく、そして強くなるはずだ。小説ってそういうもんじゃないのか。
軽やかにして奥深い、飄々としているようで熱い想いが流れている。
これは作者の如月さんの作品を読むたびに思うことの一つです。
読みやすくて、キャラクターが活き活きしていて、すごくのめりこんで読んでしまう。
流れているストーリーは楽しさいっぱいなのだけれど、その奥底にはもっと深いテーマも隠れている。
そんな『如月印』のつまった物語です。
ちょっとコミュニケーションが独特の山科君という天才が出てきます。
物理・数学といった分野にはめっぽう強くて、というよりも誰も寄せ付けないほどの天才児。
さらに彼には音楽の才能もあるのですが、こちらにはプロにはなれないとすでに見切りをつけています。
これだけでも相当なインパクトのあるキャラクターです。
そして主人公は彼の幼稚園時代の幼馴染の女の子。
二人が中学校で再会し、ともに合唱コンクール、吹奏楽部での活動を通して、多感な時代を共有していきます。
もちろん中学生ですから、まぁクラスの連中ともいろいろあります。
いい奴もいるし、ひねくれたやつもいるし、無関心な奴もいる。
それでも一つのイベントを通じ、ぶつかりながら、まとまっていく様はとても読み応えがあります。
たぶん誰の胸にも似たような思いの一つや二つがあるはずで、そんなところがまたくすぐられます。
こう言ったシーンを彩るのが山科君の天才ぶり、そして迫力の演奏シーンです。
特に山科君の天才ぶりが発揮されるところは不思議と胸がスカッとしてきます。
まさに生身のヒーローを見ている感じなのです。
とにかく読み応えがあり、ストーリーも楽しく、天才のカッコ良さに惚れ惚れし、そして最後には……
おっと、この先は是非ご自分の目で。
天才は出てくるし、音楽の話でもありますが、なんと何の前知識もいりません!
それでもしっかりと物語を楽しむことができます。
逆に知ることの楽しさまで味わえる物語なんです。
こういう話はなかなかありませんよ。
ぜひ読んでみてください。
クライマックスの文化祭までは本当に色々あって、どうなることかと思うのだけど、終わってみれば、結局良いヤツばっかりなのだった。
彼らと同世代だった頃を自然と思い出すと、募るのは後悔の念。
富樫や森園のように熱くなれていたら、
山科のように自分を貫けていたら、
美咲のように強い気持ちを持てていたら、
そうでなくても青木や佐々木のようになれていたら。
あの頃の思い出が不完全燃焼なのは、全部途中のまま終わってしまったからなのかもしれない。最後まで正直になれず、向き合うことができなかったからなのかもしれない。
そんな感傷に浸ってしまうほど、クラスの反応がリアルでした。
スイッチの入ったときの山科がかっこいい。怒濤の指示出しは、読んでいるだけで背筋が正されてしまいます。
彼がスイッチが入れられる環境にあるとき、そこには互いに送り合うGIFTがあったのだと思いました。
もう、とにかく読め、の一言で良いのだけれど、それではレビューになりません。
中学生の合唱コンクールを「一風変わった男の子」と普通の女の子を軸に描き、ハラハラさせつつ、最後にはほろりと涙ぐませる——そんな物語です。音楽の知識がなくても置いていかないように気を使った組み立て。登場する少年は類稀なる才能の持ち主ですから、語り手である女の子にはわからない世界に住んでいます。けれど、「わからない世界」は彼女を拒絶することなく、瞬間、ふっと周囲の人々と触れ合う。
成長するときの不安定さと思春期のときめきを包み込むように音楽の世界が広がります。そして、そこかしこでくすくすと笑える。
だから、やはりまとめるとすれば——とにかく読め!
個人的に合唱コンクールという学校行事が大好きで。
絶対クラスの中で喧嘩が勃発するんですよね。
それぞれ合唱コンクールに向かう姿勢も能力も違う。頑張りたい子が掲げる大義名分と、「ガチ」にはなれない、なりたくない子の言い分。
歌が苦手な子と、もっとうまく歌えないと納得できないという子。
それでも彼らは一つのハーモニーを作り出さなきゃいけない。
違う視線で別の方向を向いている者同士が、一つの音楽を作り上げなきゃいけない。
「フツー」のクラスでさえ衝突を繰り返しながら合唱コンクールに向かっていくというのに、この『GIFT』の主人公みさきちゃんのクラスには「フツーじゃない」男の子がいた。
山科君。
彼は「空気が読めない」し、部分的に異様なほど能力が突出している。ちぐはぐな彼の存在は、教室に嵐を呼び込んで……
力みのない滑らかな文体と、素人にも熱が伝わる吹奏楽部の演奏の描写、何より飽きさせない物語の展開で、最初から最後までよどみなく楽しみました。
読後タイトルの「GIFT」とはなんだろうと振り返ってみて。
作中で語られていることはもちろんですが……
クラスに嵐を持ち込んでくれた彼の存在自体が登場人物全員にとっての「GIFT」だったのだと、勝手に考えた次第です。
うん、いや、ごちゃごちゃ語ってしまって申し訳ない。言いたいのはただ一言。
「この作品、面白いから読んでみて!」