今回の作品は「人間の欲望から出来る黒い穴」というテーマでしたが、欲望に満ちた異世界に召喚された二人が「穴」の攻略に挑む姿が美しく、やっかみを入れてくる鳥のキャラも最後では良いものとなり、綺麗に纏められている作品と感じました。
この世界の住人は全て強大な「欲」を持っていましたが、それは異世界に限らず現代でも同様です。
そういったメッセージ性が強い作品として、私の頭には印象がこびりつきました。
表現では、りえりーと黒田の犬猿に割り込む召喚者抹殺のための刺客で「三角関係ってそっちかよ!」と思わせたり、時空の歪みによりわたるが「膿」まれてしまったりと、読者を驚かせる演出が多々あり、とても面白かったです!続きが読みたいと思いました。
追伸:ラストシーンで食べていた焼き鳥とはまさか……。
手に取るか悩んでいる人は、どうか1ページ目だけでも開いてみてほしい。もう、この作品から目が離せなくなる──…。
舞台となるのは主人公達の住む異世界「ガスキートリ」。主人公のりえりーは出勤中(彼女はこちらの世界で言うペットショップで働いている)、綺麗な色の鳥を見つける。それはまあオカメインコなのだが、もちろんガスキートリには存在しない。りえりーは夢中になってインコを追いかけ、完全足元不注意。穴に落っこちてしまう。そして彼女は人間界のマンホールから、あちらとこちらを行き来出来るようになるのである。
彼女を人間界に導いた毒舌オカメインコ「わたる」(2歳)。人間界でのりえりーの働き口、怪しいペットショップ店長の「黒田」。
なぜりえりーは人間界へ来たのか。ガスキートリに迫る危険、黒田の思惑、りえりーの願いが交錯する異世界ファンタジー!
は、と気づく頃には読了している事をお約束しよう。