月を見ながら

夏休み明けの高校。抜き打ちのミニテスト中、僕は前の席の子の変化に気づく。
なんてことのないただの一日が、大人になっても忘れられない日になることだってある。
好きな人のこと、授業のこと、校則のこと、塾の帰りにかじるパンのこと。
冷たい月明かりを眺めたカルピスの味は、きっと一生忘れない。

太陽が照りつける暑い教室から始まる、身体も、こころも、行動すらも、いつだって熱に浮かされているような、ある高校生の一日。