甘党の翔和坊ちゃんと、さほど甘いもの好きでもない雅月お嬢さん。彼らの恋模様が甘味であるとしたら、対峙する悪党2人が、濃い目の緑茶や紅茶にもたとえられよう。この悪党2人――杏子さんと暦時さん――が、とてもよい苦み・渋み(或いは辛み?)を提供してくれたので、後に続く甘味がより引き立った。特に、暦時さんなど、出番の少なきが惜しまれるほど印象深い。舞台ならば「儲け役」といわれたに違いない。
また、作中に時々現れる菓子類の描写も、甘いもの好きには楽しい。
現実の甘味は、せいぜい身体の脂肪分になるか、でなければ胃もたれ・胸焼け・消化不良のどれかを起こすであろう。が、そこは目で読む小説のこと。どんなに甘くても0カロリーだ。安心して食する(読む)がよろし。
明治風の世界観、かなり歴史的な雰囲気がありまして、世界観にもウットリ浸ることができます。
借金取りから逃げるヒロイン「雅月(あづき)」を助けたのは、美形で優しい男性、「翔和(とわ)」
雅月に、自分の趣味、甘味めぐりにつきあって欲しいと要求します。
翔和は、女性との恋愛より、スイーツにしか興味がないようで……?!
純喫茶、カフェー、たくさん、美味しそうな甘味がでてきます。
その美味しそうな描写も楽しいです。
悪役は、かなり憎らしい悪役ですが、最後はすっきりハッピーエンドですよ。
ジレジレあまあまのラブストーリーです。
オススメですよ。