主人公の女の子が血の繋がっていない母、そして兄を心から慕い、幸せに日々を送っている様子が文章から溢れてきて感情移入させます。そしてその幸せをぶち壊す書類を自らの手で差し出さなくてはならないという仕掛けに見事にやられてしまいました。終盤のシーンは感情の発露がものすごい迫力で描かれています。文章力もキャラクターの立ち方も所々に仕込まれた仕掛けも全てが素晴らしかったです。スタンディングオべーションしてます。
妹と優しい義兄の生活と聞くと、甘酸っぱい話を想像する人もいるかもしれません。ですがこの話では両親の離婚が間近に迫っていて、残された時間はあとわずかしかないという点が切なさを感じさせます。主人公の『僕』は兄の事はもちろん、新しい母の事も大好きなのですが別れを止められることはできません。せめて少しでも母の助けになろうと頑張る姿、短い間だったけど兄と一緒いいられたことを感謝する姿に心を撃たれました。このレビューを書いている時点ではまだ完結していないので、『僕』とその家族が今後どうなっていくかが気になります。
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