切なさがじわじわと染み込んできます。主人公の想い、彼の想いが痛いほど伝わってきます。 けれどそういったことを直接書かずに表現していることに驚きました。描写されていないことで想像がよりふくらみます。 少ない文字数ながら、奥行きの深い作品です。
水族館、行く必要ない。その人がそこに居ればそれでいい。
直接的な説明がなく、シーンの描写や会話劇で物語を浮き立たせているので、叙情的な掌編に仕上がっています。そのため、常に読者に「なぜ?」と思わせる展開となり、最後までだれずに読むことができました主人公がやや投げやり気味なのは、自分の身体的な問題で迷惑かけるのがいやなのか、自分に自信がなかったのか。彼の決意が強いと気づき、エンディングに向かう流れも共感がもてました
まずは「ひとり1つの最高傑作」企画への参加、ありがとうございます。 きちんと小説の書き方は守りつつ、下手に多くの描写はしない(あるいはこれも主人公のためか。だとしたら策士)、非常に淡い文章だけど、物語として成り立っている、丁寧な掌編でした。 ありふれた軟派な恋愛ものでは、ただ作家が動かして楽しむための駒のようにありきたりな行動や思考しかしないことも少なくないものの、この掌編では主人公も、その恋人も、ちゃんと意思のある人間として描かれていたような感じがします。 読みやすいけど薄くない、いいものを読ませていただきました。 ありがとうございました。
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