終焉の果ては神話にも似たオワリに繋がる

この作品の魅力や評価点は多々あるのですが、個人的にはまず作品全体を包む重厚かつ「カッコイイ」雰囲気が挙げられると思います。
独特な台詞回しや地の文を構成する描写といった文字列達が、それぞれこの退廃的なSFの作風に合致しています。
そして細部にまでこだわって練り込まれた設定。オリジナリティに溢れていながら、根拠を以って架空世界の『リアル』に読者達を引き込むパワーを持っていました。
キャラクターの造形や設定、ストーリー展開もどれも高水準であり、特に終盤の壮大な結末は、切なさや穏やかさが同居したまさに神話的な物語だったと思わせてくれました。

単なる舞台背景や装置としてでなく、それぞれの要素がガッチリと深く噛み合って一つの『作品』を組み上げているのが素晴らしいと思いました。
文字数に反してとても内容の『濃い』物語でした。

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