整った文章は、スラスラと読ませる力がある。これは、音読してみればよくわかる。抵抗なく読み進めていけば、再会のシーンでグッとくるような、ほっとするような。なんとも言い表せない、安堵感が押し寄せた。彼女と彼は対なのだ。どんな言い訳で固めようとも、それは揺るがない。もう進むしかないのだ。
互いに惹かれあっていた二人。それなのに、どうしていつからこんなにも離れてしまったんだろう。青くて苦い、その中に甘さをほどよく織り交ぜた濃い作品でした。短い物語なのに、これほどのドラマをきちんと上手くまとめられている。素敵です。また、心理描写が丁寧で綺麗。主人公の挫折もヒロインの思いもどちらもよく伝わります。読み進めていくうちに、脳内で情景が鮮明に描かれ、なんだか水色のフィルターがかかる澄み切ったような世界が広がりました。ぐっと心にくる、そんな青春ラブストーリーを是非ご一読ください。
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