今すぐ劇場に行きたくなる!

「死」という文字が47回出てくるラブコメ……と、まえがきから、既に「何が起こるのだろう!?」と引き込まれます。

私はこの短編にすっかりハマりこみ、短いものなので、スクロールして、3回ほど読み返してしまいました。
それは、このお話の主人公が演劇をする人で、「死体になりきること」というのに一生懸命になっているからです。
演劇を観るのが大好きな私は、「死体らしさ」を巡る、主人公と先輩の話は「なるほど!」「そうやって死体を演じるの!?」とのめり込み、今すぐ劇場に行って、誰かの死に様を演じる人の姿を観たくなりました。

でも、まだすごいのです。
こんなに熱い演劇論なのに、とても短くて、その「現実世界」として主人公たちの甘いラブコメがあるのです。

何でこんな構成の短編が書けるのだろう……と率直に感服しました。

演劇が好きな人は勿論、「短編小説ってこんなことできるんだよ!」という意味で、いろいろな読み手さん・書き手さんにお薦めしたいお話です。

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