お片づけの依頼はエルムバンクまで

作者 赤坂 パトリシア

144

49人が評価しました

★で称える

レビューを書く

ユーザー登録(無料)をして作者を応援しよう! 登録済の方はログインしてください。

★★★ Excellent!!!

――

 それを自分のせいにして抱え込むと、ますますうまくいかなくなる。
 手放す、というのは、言うは易しだが、うまくいってない当人がそれを判断することはむつかしい。

 この物語を読んだとき、私はうまくいっていない状態だった。
 これを読んで、自力でなんとかしようとしていたことが誤りなんだと気がついた。

 なんかものごとがうまくいかないと思っている人におすすめしたいのはもちろんなのだが、うまくいかないまわりの人にも読んで貰いたい物語。
 つまり、みんな読むといい。

★★★ Excellent!!!

――

おもしろかったです!

ほんとはこれだけで終わりたいですけど、それではレビューにならないので、少しでも本作に興味を持ってくれる方が増えるよう、僕なりに感想を書かせて頂きます。
(読む喜びは減らないと思いますが、途中ネタバレっぽい記述をするかもしれません、ご注意を)

カクヨムで色んなおもしろいお作と出合って、世の中には実力ある人が大勢おられるのだな~と日々勉強になっています。
けれどおもしろさには種類があって、「おもしろいけど十代向けかな」とか、「僕は好きだけどマニアックかな」とか「愉快だけどあの系統の知識がない人に伝わるだろうか」など(生意気にも)評価する上での基準というか切り口、あるいは土台というものを考えます。

しかし本作に、そういう考えは不要、一行目からすうっと物語世界に吸い込まれ、血の通った登場人物たちが好きになり、異国その他の情報・知識に知的好奇心を刺戟され、ストーリーも魅力的、僕にしては早いペースで読み終えてしまいました。

ここで個人的なことを書くことを許して頂くならば、身内に物を捨てられない者がおり、それが喪失感や戦争体験などに由来していることは漠然と感じていたのですが、現在正式に疾患と認められていると初めて知りました。
また過去に数年高齢者向け介護施設で働いていたのですが、あの頃の感覚が甦って、ミルドレッドさんに幸せになってほしいと願わずにいられませんでした。

そして、上質のユーモアに何度笑い、あるいは何度涙腺がゆるんだことでしょう。
人には色々と事情があるんだ。

孤独な老婆と主人公の間に徐々に信頼関係、若しくは友情が築かれる様に、人を信じる意味を思い出させてもらいました。
それから、作中で繰り返されるあの言葉。
愚かな恋を繰り返した僕は、何かに(何者かに?)赦されたように感じました。

★は三つですが、「本になったら定価で買う」の三つです。
そ…続きを読む

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

人の行動には理由があり、物をため込むのも同様なのだとしみじみ思いました。
80歳なる老女は、元教師で堅実な人生を歩んできた人だった。
お片付けが進むにつれ、ため込む理由がだんだん明らかに。頑なな態度に隠れていた、愛され慕われる名教師としての彼女も現れてきます。
イギリスの普通の人々の苦難と思いやりに、涙が溢れる素晴らしい小説でした。

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

まるで一本の映画を見ているようでした。

最初っから最後まで上品な英国の雰囲気(とは言いつつゴミ屋敷)
片づけをしながら現在と戦時中を行ったり来たりしつつ、なぜモノがたまっていくのか、その謎がほどけていくあたり、手が止まりませんでした。

もし続編で、他の人の片づけ話があればぜひ読んでみたいです。

★★★ Excellent!!!

――

彼女が捨てられなかったものは、モノじゃなくて想いだったんだ。
だからどうしても手元に置いておきたかったんだ。

でもね、想いはモノと違って消えることはない。
大切な人たちは今でもそこにいるし、最愛の人との思い出は色褪せない。

そこに気づくまで随分と時間がかかってしまったんだよね。

ワンピース、きっと似合っていたんだろうね。

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

まず読み始めてすぐにその緻密な設定と考証に感嘆が止まりません。
文章の巧みさもさることながら、仕事とは何か、プロ意識とは何かという部分にグイグイと切り込むお話に惹き込まれてしまいます。
本格的なお仕事ストーリーを腰を据えて楽しみたいという貴方には、是非、オススメしたい一作となっております!

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

歴史小説の舞台でその知識と才覚をいかんなく発揮してきた作者が、満を持して挑む現代のお仕事小説。作者の居住地でもあるイギリスを舞台に、「プロフェッショナル・オーガナイザー」の仕事に挑む日本人女性の活躍が描かれる。

我々読者があまり聞き慣れない、この「プロフェッショナル・オーガナイザー」なる仕事。プロのお片付け屋さんと解釈してしまえばシンプルではあるが、本作で描き出されるその仕事の「深さ」は侮れない。
ゴミ屋敷に埋もれた偏屈な老婆と触れ合い、お片付けを通じて彼女の心さえも解きほぐしていく主人公の姿は、宗教家や心理カウンセラーに勝るとも劣らない「人生の救い」の担い手と呼んでも過言ではない。オーガナイザーとはつまり、依頼者の人生をも整理する仕事――なのではないかと思う。

主人公の一所懸命な仕事ぶりや、老婆が述懐する若き日の恋物語の切なさもさることながら、本作に更なる彩りを添えているのは、イギリスの地方都市に生きる人々の空気感や、老婆の回想に現れる第二次大戦の悲劇をありありと写し取った、作者の卓越した描写力だ。
本作に限ったことではないが、行き届いた舞台考証に基づいて、その時代・その場所の「現実」を作中に再現するこの作者の作風には、「神は細部に宿る」という言葉がぴったりとはまる。いくらイギリス暮らしが長いといっても、第二次大戦期のかの国の空気なんて作者自身味わったことがないだろうに、まるで見てきたかのように文章から立ち上るこの現実感はどうだ。繊細で正確な作者の筆致からは、敵軍の爆撃を受け地獄絵図と化した工業都市に立ち尽くす、かの老婆の若き日の姿がありありと思い浮かぶようだ。

毎回のように差し込まれる、アイロニーの利いた「脚注」も面白く、物語を楽しみながらイギリスに関する豆知識も豊富に仕入れることができるこの作品。海外旅行に行きたいけどちょっとお金が……という方にも、ぜひ、女王…続きを読む

★★★ Excellent!!!

――

突然ですが、整理と整頓は違うものだということをご存じですか?
整理は、要るものと要らないものを分けること。整頓は、要るものを正しい位置に片付けること。これをごちゃ混ぜにすると、物の片付けが巧くいかなくなるんですよ。


……という話の前の段階で、何かが狂ってしまったらしい、レディ・ミルドレッド。
彼女の家は模範的ゴミ屋敷で、服も食料も、埃もネズミもキノコも思い出も、何もかもが詰まっている。
その一つ一つを解きほぐすのは、お片付けの『プロ』マキカ。そして彼女の今までの人生を支えてきた人たち。
次の毎日に向かって、皆が大切な「要るもの」を救い出す物語がこちらです。


さあ、どうぞ。
とびっきりオシャレな文章に誘われるままに、お片付けの極意と人の優しさに触れてきてみませんか?

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

イギリスという海外の地を丹念に彩り豊かに表現しているところ。
私はイギリスの風土に詳しくないが、それでも楽しめる。
小気味の良いリズムと冗談混じりの軽い空気とそれでいて真面目。
人柄も色鮮やかにキャラ立ちがしていて没入できる。
注釈の書き方も面白く、私の好みであり、内容もまた非常に面白い。
片付けとは何か?と書いた通り、このお話の主題は片付けである。
物事のひとつひとつに意味がある。
自分で物を片付けする時など思い当たる内容が散逸されていて、物が片付けられない人も片付けられる人もぜひ読んで欲しい。

★★★ Excellent!!!

――

イギリスの小さな町に住む日本人マキカは、「お片づけ」依頼を受ける。
80歳のミルドレットの家は、途轍もないゴミ屋敷だった。
行政が強制的に全部捨てる前に、片付けることはできるのか?

マキカはプロフェッショナル・オーガナイザー。
掃除、ではなく、依頼人が家を片付ける手伝いをする仕事。
翻訳物のような、ユーモアたっぷりの文章で綴られる英国の暮らしはとても素敵。
口の達者なミルドレットとのやりとりや注釈は、読んでいて笑えます。

西暦2000年、という舞台は現代に思えますが、ジャンルは「歴史・時代・伝奇」。
片付けの過程で、少しずつ明らかになっていく、ミルドレットの人生。
ミルドレットが物を溜め込むようになったのには、わけがある。
サンディたちが、ミルドレットを助けたいと思うのにも、わけがある。
『呪い』を発見した瞬間の、マキカの怒り。マキカ自身の人生も垣間見えます。
(この物語の本筋ではないですが。)

若きミルドレッドが、サンディと父親に対して言う
「この国の歴史で初めて~」
という言葉は、すごく重い。

連載中、ずっと更新が待ち遠しい作品でした。
有難うございました。

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

イギリスの田舎街、プロフェッショナルオーガナイザー、とにかく何もかもが新鮮な舞台設定の中で活き活きと輝く登場人物達。
彼ら彼女らはみんな「小説のキャラ」ではなくて、「生きて、背景を負っている人間」のようで、それぞれが細々と動き回り、丁寧に生きています。
とにかくこの、登場人物達の動きが凄い。
物語自体は「お片付け」が主眼の「働くヒト」小説ですから、自然と物語の舞台はとある一軒のおうちに限定されていきます。その家を片付け、整理し、家の主の人生と寄り添うのがプロフェッショナルオーガナイザーという聞き慣れない職業の使命です。舞台としては、だからとってもコンパクト。
でも、そのコンパクトな舞台の中で、沢山の登場人物達がそれぞれの人生、主義、履歴、その他全部を振り絞って動き回る!
都合のいい駒ではなくて、みんなにそれぞれの生活があり、息吹があることを確信させてくれる、そんなお話です。
きらきらと輝く宝石箱のような、子供の頃大事にしていた玩具箱のような、開ければ素敵なものが沢山飛び出してくる──これは、そんな作品だと感じました。

軽快な地の文、簡潔で読み進めやすい会話劇、さりげなくクスリとさせてくれるユーモアたっぷりの脚注まで、文字の一つも見逃せない作品!
人間は、生きていく上でどれだけのものを得るのか──どれだけのものを失っていくのか。マキカは、ミルドレッドは、何を失い、何を得ていくのか。最後の最後まで見逃せないし、待ち遠しい!
更新がこれだけ楽しみな作品、久し振りでした!

★★★ Excellent!!!

――

プロフェッショナルオーガナイザー、という初めて聞く職業。
西暦2000年のイギリス北部の田舎町なんて馴染みのない場所。
噂によれば翻訳ものっぽい雰囲気らしく、実は苦手な文体。
こんなんで読めるのか? と思っていたけど見事にハマった。

イギリスの歴史と文学作品への造詣が極めて深く、現地に住み、
生の言語と文化に接してきた著者でなくては書けない作品である。
洒脱な文章は軽妙で、そ知らぬ顔をして織り込まれたユーモアに、
思わず噴き出したり膝を打ったりしてしまう。何かすごい。

かっちりして上品な老婦人ミルドレッド、御年80歳は、
その外見に似つかわしくない「溜め込み」癖がある。
初めはミルドレッドを理解できないマキカだったが、
次第に老婦人が心に秘めた悲しみの存在に気付き始める。

2000年における汚屋敷お片付けを物語の主軸としながら、
1940年代の回想が差し挟まれて老婦人の人生が紐解かれ、
また同時に、イギリスという国の現代史が語られていく。
戦争の記憶を埋没させてはならないと、改めて感じた。

たかがお片付け、されどお片付け。
ゴミに埋もれた思い出を拾い集め、
老婦人の心は解き放たれるのだろうか。
マキカの心は解き放たれるのだろうか。

★★★ Excellent!!!

――

Hi! 日本のみんな元気かい?
素敵なノベルライフをおくっているかな?

え? お前は誰だって? 僕は「ビングリー」っていうんだ、覚えておいてくれよ。
この物語の主人公「マキカ・ケイ」に「まだらハゲ茶色フリースゲス野郎」って陰口を叩かれた男さ。

僕の家の隣に住んでる「ミルドレッド・グレイ」って80にもなる婆さんがいるんだけど、その婆さんの家はいわゆる「ごみ屋敷」なのさ。
ネズミだのなんだのって、もう衛生状態も最悪なんだ。

そこに現れたのが、依頼者と共に家を片付ける、オーガナイザー「マキカ」なわけだけど――彼女、けっこう悪戦苦闘してるっぽいね。
なにせ、10年以上もごみを溜め込んでいたわけだからね、そりゃ大変さ。

僕? もちろん僕ビングリーも出てくるよ! 「まだらハゲ茶色フリースゲス野郎」って陰口を叩かれる為にね♪
ちゃんとセリフもあるから注目しておいてくれよ! HAHAHA!

ついでに宣伝しておくと、赤坂パトリシア先生の他の作品も超絶面白いから、ぜひ読んでみて欲しい!
それじゃ、今回はこの辺で! バーイ♪



まだらハゲ茶色フリースゲス野郎こと、ビングリーより。

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

海外小説の翻訳物に似た雰囲気を感じるのは、淡々と語り、そして詩やことわざを丁寧にそこへ織り込んでいるから。その方面への、教養の高さがなしえるものでしょう。
それでいて固くないから、下手な翻訳物よりずっと読みやすく、残る感覚が「ふわりといい」という感じ。
昼下がり、クランペットでも食べながら、読めたらいい休日になりそう。

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

英国文化はその伝統と格式によって知られるが、同時に「我々の国ではちょっと考えられない」という、半ば見世物じみた扱いを受けることもまた事実。

異様なまでに頑なに残された身分制度に、どうして「カイゼン」と言う言葉を知らないのかと舌打ちしたくなるような料理、改良よりは修繕を好むエンスージアスティックな精神性。

それらを魅力的なものと取るか旧態依然と考えるかで、大きく評価が変わってくる国だろう。だがそれだけに英国を描いた作品は独自の空気感があって面白い、そう思わせられます。

海外ドラマを見ているような感覚。脳裏に浮かぶゴミ屋敷、だが決して不平不満が燻っていない――近所の住民以外は――場所。

果たして老婦人にとってのこの家は、美しきannus mirabilisを想起させる場所なのか、それともネズミの巣食うannus horribilisであるのか。続きが待たれます。

★★★ Excellent!!!

――

イギリスに住む日本人の主人公が、知り合いに掃除のサポートを頼まれる。

その仕事は、「プロフェッショナル オーガナイザー」と呼ばれるもの。単なる片付け屋ではなく、依頼主に寄り添い、依頼主が自らの手で片付け、その状態を維持していけるようにサポートする役割。

まず、そんな仕事があるということに驚きました。ぜひ、私の家にも来てほしいです!

そして、主人公が依頼されて訪れたお宅は、きっちりと往年のイギリス女性スタイルに身を固めた隙のない高齢女性。しかし、彼女の自宅はごみ屋敷になっており……。


主人公が、依頼主と親交を深めながら丁寧に会話を重ねて片付けを進めていく様子はとても好感が持て、そして人と接するということの本質を考えさせられます。
さらに、話が進むにつれ、依頼主の過去も垣間見えてきて。いったい、彼女は何のきっかけで、ここまで生活を崩してしまったのか。……非常に気になります。

さらにさらに。あちこちに散りばめられた、イギリスっぽさ!もう、素敵!素敵!と触れ回りたくなるほど。イギリスの暮らしをよく知り尽くしている作者さんならではの、その醸し出すイギリスの空気がとても新鮮であり、にもかかわらず懐かしくもあり。

続きも気になりますが、何度も読み返してそのイギリスの空気に浸っていたいと思える。そんな素敵な作品です。

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

★★★ Excellent!!!

――

読了がコンテストの期間内にならなかったことをまずお詫びせねばなりません。
でも、読み始めた時から毎回、続きを楽しみにしていました。

イギリスの地で暮らした人々の息遣い、悲劇と喜劇とが交錯する様子を、英国情緒という言葉で片付けてしまうのは忍びないし、ミルドレッドに叱られそうです。
しかし、英国の文化を織り交ぜたこの作品に現れる彼らの暮らしには、やはりある種の気高さを感じずにはいられない。

もちろん、その良いところも悪いところも、この物語の中では語られています。
そうした国の歴史とそこに暮らす人々の歴史が文字通り積み重なって雁字搦めで動けなくなる。
そんなしがらみを捨ててしまえば早いのかもしれないけど、しがらみというのは歴史であり、その人の人生そのものでもあるわけで、そう簡単にもいかず、「じゃあ、どうするの?」ということを考え、なんとか方法を模索していく様は、まさにお仕事モノでもあります。お仕事モノを思い切り踏み込むと、こうなるのかと脱帽しました。


お仕事モノの定義を広げ、人と国と文化の中で、それらを受け入れて前へと進む圧倒的な人間賛歌。

壮大ではないけれど重厚な、それでいてさりげなくて親しみやすい、人と歴史の物語。



ぜひぜひ読んで欲しい一作です。

★★★ Excellent!!!

――

いやぁ、すごい。
マキカさん、私のおうちも整理してほしいわ。
文章はもちろん設定もしっかりしてて面白い。あれ、organizerって本当にある職業なんでしょうか??

マキカの依頼人をしっかりと考えているところも、好感が持てて素敵です。
続き楽しみにしてます。