2012年7月某日 井上友香
●今日ね、友里恵を見たの。帰ってきてくれたの。
○どういう事ですか?
●買い物行ってたの。そしたらね。すれ違ったの。うわあ!って思ったの。また帰ってきてくれたって。あら?どうしたのそんな顔して?お前も違うって言うのか!?何よ?嫉妬してるの?私は正しい行いを続けてきたから友里恵が帰ってきてくれたの。それを嘘とか言うなんてあんたは本当に卑しい人間ね。悪魔よ。悪魔!お前も友里恵をどこかに連れ去るのか!?させる物ですか。やっと帰ってきてくれたのよ?もう会えないと思っていたのよ?
○いや…だって…友里恵さんは…
●何を言ってみなさいよ?じゃあ証明できるの!?ほら!証明してみて!あなた反論したんでしょ!?反証しなさいよ!ほら!
○あの…申し訳ないです…
●わかってくれた?あの子生きてるの。わかる?わかるわよね?わかれよ。わからないのならもう知らないわよ。私だって感情的になる事があるのよ?なによ。何を言ってるの?そんなに私とあの子を引き離したいの?
○あの…前に見せていただいた…
●お前なんかに何を見せた!!
○いや…ご遺骨は…
●あんな物もう捨てたわよ?ニセモノでしょ?友里香があんな粉っぽくなるはず無いじゃない?あなたも周りと同じこと言うのね?私の息子もそう。和成って言うの。デキの悪い息子よ。「お姉ちゃんに何してるんだ!」って掴みかかってきて…思春期なのかしら。何にしても頭の悪い息子よ。別れた旦那の血が濃いのかしらね?
○ちょっとわかりかねます…
●当たり前よ!お前になんて分かってたまるか!!友里香は私に似て完璧だったわ…あなたも当時の嘘ニュース見たでしょう?嘘ニュースの事は思い出すのも嫌だけど…あんな可愛い娘を色んな人が見てくれたのは嬉しかったわ…今でもたまにテレビであの時の様子出るでしょう?私…あの時は突然過ぎて化粧もしてなかったの…でも嘘ニュースで嘘事件だって分かっていたら…もっとちゃんとしたのに…人生って不思議よね。終わったと思ったらはじまってるの。もう…友里香ったらいつ帰って来るのかしら?知ってる?知ってたら教えてね?今何か聞こえたわね?友里恵帰ってるのかしら!?ちょっと待ってて!
○井上さん!井上…
●何してる!お前!友里恵の部屋で何してる!?出て行け!!お前は悪魔の子だよ!出て行け!!友里恵の部屋から出て行け!!
○井上さん!?ちょっと…井上さん!?君!君!大丈夫か!?
●離せ!離せー!お前も引き裂くのかー!お前も私と友里恵を引き裂くのかー!悪魔め殺してやる!殺してやる!!殺せー!私を殺せー!
○君!救急車!救急車呼べ!弟さんだろ!?救急車早く呼べ!!!
●あら…誰かお呼びになったの?大変…化粧しないと…ああ、お話しは続けましょう?もう…あの子なんなのかしらね?友里恵が帰って来るから綺麗にしていたのに…
○どうして…部屋に…あんなに多くの釘を打っていたのですか…?
●うん、それはね。もうどこにも行かないようによ。
○それは…友里恵さんがですか?
●ふふふ…鈍いわね…?あなた、結婚してるの?
○いや…していました…
●そんなんだから見捨てられるのよ!なんで男は鈍いのよ!?友里恵が居た時の空気や魂や精霊が逃げないように釘を打ち付けたのよ!分かるでしょう!?普通は!!あんたなんで奥様に逃げられたの?分かるわよ。自分勝手に好きな事べらべら喋ってばかりなんでしょう?今も私、凄い不快だわ。本当に不快!あなたみたいな自分勝手な男が1番嫌いなのよ!ふざけるんじゃないわよ!あなたも友里恵みたいにどこか行ったんでしょう!?
○妻は…事故で…亡くなりました…
●うるさい!今、そんな事関係あるか!ああ嫌だ、男性の匂いってひどく臭うわ。友里恵が帰ってきた時に男性の匂いが家に残っていたらきっとあの子吐いてしまうわよ。掃除をするのは私なのよね…でも母親だししょうがないわよね。吐いた物も全部友里恵なの。可愛い娘。あら?この化粧品はニセ化粧品かしら?全然肌に乗らないわね!?あなた、まさかさっきのどさくさに紛れて取り替えたのかしら?
○まさか!
●冗談よ?冗談に決まってるじゃない?それとも何?私がそんな事に気が付かなくなっているとでも思ったの?私が狂ったとでも思ったの?何よ。私がボケ老人だとでも思ったの?違うわよ。私ね、今でも声かけられるの。ずっとずっと声をかけられ続けているの。ほら、今もずっとよ!うるさい!!今大事な所!!静かに!!静かに!!!ほら、私だってまだ女じゃない?妻って部分はもう無くなって、女として再生された訳じゃない?何よ?嫌らしい目をして何を見てるの?良いわよ?もっと見なさいよ!見ろ!ちゃんと見ろ!!私がババアだって!?何よ!私を見て反応しないインポが何よ!何様のつもりよ!
○井上さん…ちょっと!ちょっと、服、ちょっと!
●ああもうめんどくさい!ほら!!見たかったんでしょ!?チンチン出しなさいよ!ほら!!あんたも男なんでしょう!?インポなの!?別れた旦那と同じね…ふざけやがって、私がババアだから勃たないって言うの?ふざけてるのかお前。もしかしたら照れ屋なのかしらねえ!?友里恵みたいに?あの娘!!私が買い物に連れて行ってあげてもずっとずっと俯いてさあ!何!?大好きなお母さんと買い物してるのよ!?いけないいけない。笑顔。笑顔。笑顔。そう。笑顔はみなぎるパワー。悪魔を滅ぼすのも笑顔。こんにちは~!
○え?
●こんにちは~!ハロ~!
○あの…
●もしも~し!こんにちは~!ハロ~!アンニョンハセヨ~!
○井上さん。井上さん…?
●こんにちは~!こんにちは~~!こんにちは~!こんにちは!
○…………こんにちは…
●なんでお前が返事するんだ!キャアアア!私を犯そうとしてるんでしょ!?悪魔め、私を取り込もうたってそうはいかないのよ。お母さーん!お母さーん!なに?友里恵かしら?あなたじゃないわよね!?お母さーん!お母さーん!友里恵!お前、友里恵のモノマネしてるのか!それともその中に友里恵隠してるのか!?ほら!そのシャツ脱ぎなさいよ!あんたがその体の中に友里恵を隠してるんでしょうが!!最初から全部お見通しだったのよ。おかしいと思った。ニセ事件にニセニュース。ニセ息子に。ニセインタビュアー!ニセニセニセニセニセ!!!全部ニセモノ!ニセモノでしょうが!友里恵出しなさいよ!!私の、私のたった1人の娘なのよ!!友里恵どこなの!!お母さんここよ!!なんでここにいないの!!お母さんの事が嫌いになったの!?お母さんね!お前に吠えたあの犬も殺したのよ!!今は庭に埋まってるわよ!もう怖くないのよ!お前が怖いと思う物はぜ~んぶバイバイさせてあげるから!
友里恵…もしかしたらこのニセインタビュアーも嫌いなのかしら?どうなの?あなた、友里恵はあなたの事をどう思っているのかしらね?どう思う?
○…………
●…………
○…………
●…………
○………えっと………
●……………
○……………えっと…はい。
●……………
○あの…今日は……もう……
●終わってないわよ。
○いや…………
●友里恵はあなたをどう思っているのかしらね。
○……………
●……………
○あの…井上さんは…
●……………
○まだ…あまり…よく知らなくて…申し訳ないです…
●違うでしょ?
○え…?いや………その………
●誰だお前は!誰だ!!和成!!お前!悪魔を2人も連れてきたのか!!白い悪魔め!!
○助けてください!!
●悪魔!殺してやる!!私と友里恵を引き裂くな!殺してやる!!殺してやる!!!殺してやる!!!悪魔ー!悪魔め!!あ、悪魔ー!!!!!!!
○助けてください!たす、助けて!
●もう良いわよ!!連れていきなさいよ。良いわよ。ねえ、藤田さん。
○はい!?
●またいらしてね。
~メモ~
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