自分の居場所は誰かが与えてくれるものではなく、自分で作るもの

大学に通うためだけに、この街にきた主人公。
その彼は、ちょっとしたきっかけで、そこのシャッター街になりつつある商店街を盛り上げようと企画する学生たちの「マチカツ」に参加することになる。

しかし。
怪訝な目でみる商店街の店主たち。
露骨に邪険にする人たちもいるなかで、彼らは何度も壁にぶつかり、もがき、しかし彼らの一生懸命な姿に支えてくれる人たちも徐々に増え、様々なアイデアを実現していく。

その姿は、とても地に足がついていて、何が大切なのか迷いながら探る姿にはとても共感がもてました。

そして。
その裏にある、マチカツとは違うもう一つのテーマ。
自分の居場所づくり。
これは、多くの大人にとって誰もが抱える共通のテーマなのではないでしょうか。
それに真っ向から取り組み、その真摯な姿勢に周りが次第に変わっていく様子。
その姿に何より心強さを感じたし、人の温かさを感じました。

文章もとても読みやすくて、お仕事小説は硬いのが多くてちょっと難しいな……と思っている方、特に現役大学生やこれから大学生になるであろう中高生、さらにとっくに大学生時代なんて過去のものになった大人も、お薦めできる作品です。

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