哀しくて、やさしくて、愛に満ちた外伝

本編、『マーイェセフィド』は、男装の女王と女装の王妃という、重い運命を背負わされた二人を軸に展開する、苦しくも優しさにあふれた物語でした。

『マーイェセフィド』の魅力は、この奇想天外な夫婦に留まりません。彼らの周りには、とても魅力的な人物がおり、彼らはその後どうなったのだろう、とか、どういう人生を歩んできてああなったんだろう、と興味をそそられます。

三つ目の話は本編のネタバレになりますし、一つ目についてもちょっとそこと絡みそうなので、二つ目の話について、少し紹介します。本編序盤から登場し、謎のテンションで話を盛り上げてくれたナジュムの物語です。ナジュムは変な奴なのですが、本人も自覚していない感じの、天然なやさしさ、愛情深い行動というのが時々あり、辛い場面も、彼の存在に救われてきました。どんな風に育ったらああなるのか?というのが、二つ目の外伝『金星記』でした。笑えて、心温まる話です。

本編を読み終えられた方、是非、外伝も読んでみて下さい。
きっと、本編を再読したくなるはずです。