蝉の脱け殻を手にしたときの正答は。

きっとどこにもない。

でも蝉の脱け殻は何か?何を意味しているのか?それを考えるほどに思考の沼に落ちていって、それが醍醐味だと思いました。
命の尊さ、自殺の原因、気になることは断片的に、確かに存在しています。けれどこの小説を通して考えたいのは蝉の脱け殻の意味、そこだと思います。空っぽになってしまった脱け殻、でも外側にはリアルな蝉が縁取られていて、本物に似た偽物というか、胸をわしづかむようなものに思えます。

その脱け殻が放り出されたとき、捨てたのは脱け殻だけだったのだろうか。心臓を抉る物語です。

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