小学生の私から見た死。
それは唐突で、慌ただしくて、だけれども静かでした。
物語の中では、自死を選んだ人間自身よりも、近くにいた人間の心情が小学生の視点で丁寧に描写されています。
由永さんは蝉の抜け殻を集めるのが好きでした。
空蝉とは何を意味しているのでしょうか。
一生懸命生きようとしたけれど、なお死を選ばざるを得なかったことでしょうか。
蝉の抜け殻を集めるように、近くにいた人々がもうこの世にいない人間に思いを馳せることでしょうか。
答えは提示されていません。
ただただ、読み終わったあとに静かに感動が押し寄せてくるのです。