魔法使いは飛行機械の夢を見るか？

かつて、世界には魔法があった。魔法という言葉だけがなかった。

古い魔法文明の時代に興った崖の国。魔法文明が衰退し、代わりに機械文明が発達するに従って、魔法は限られた人々のためのものになっていた。魔法使いたちは「特区」に集められ、国の保護・監視下に置かれている。
白い肌に白い髪、太陽の光に弱いミルッヒは、厚いローブと日傘で身を守り、市街地へ花を売りに出かけるのだった。

お使いの最中で出会った機械工の少年・ベルトゥリは、飛行機械を作って空を飛ぶのが夢だと言う。 ベルトゥリの素直さ、朗らかさにミルッヒは強く惹かれるが、理想が眩しすぎて素直になれない。

市中では魔法使いの連続殺人事件が発生。捜査は難航し、魔法使いたちは特区に閉じ込められる。
そんな中、グレニッツ商会のライバルであるエーテン・セ…続きを読む