ネットの海じゃ入水もできない

十一

序文

 好きな作家のツイッターを覗いてみて幻滅したことがある。作品は作品、作者は作者なので新作を追いかけるのを止めたりまではしないが、作者に対する興味はおおいに下がった。

 いらないことを言ってしまうのならば、やらないほうが良い。興が乗ると余計なことを言ってしまう私は、どう考えてもツイッターには向いていない。

 ブログで纏まった文章を書くのであれば、書き上がるころには冷静さを取り戻しているかもしれない。読み返し推敲しながら、本当にアップロードしても問題ないか吟味もできよう。

 しかし、自分を客観的に眺められる能力があるのなら、はなから他人に読ませるべきでないものなど執筆しない。客観視する能力が低いからこそやらかすのだし、その種の手合が自己判断したところでフィルターをすり抜けて黒歴史を積み上げることにしかならない。

 そういうわけで私はツイッターもブログもやっていないし、近況ノートも利用していなかった。(過去形)

 迂闊に自分語りなどすれば身バレにもつながる。

 私にできることはと言えばフィクションを書くことくらいだ。

 ならば、フィクションとして自分語りをすればよい。問題が起こったら、あくまでもこれは小説だと言って逃げられるではないか。

 そうして私は嘘日記を書くことにした。


 というのは建前で、一万字に満たないものを発表する箱が欲しかっただけだ。気楽に書いて気楽に発表する場所が欲しかっただけだ。エッセイまがいの雑文やアイデアがほとんどむき出しのショートショートを連載という形で書きたかったのだ。


 しかし、この序文からして痛々しいものになってしまった。

 つまるところ私はこういう人間なのだ。

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