概要
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- ★★★ Excellent!!!屠る、それは砂絵にも似たアート
芸術というのは美を表す一瞬を切り取って、その一瞬をそのままに後世に残し伝えるものである。作家の死後何百年と先の誰かの心を震わせる事が出来るものが芸術である。
そう、世の称賛を受けて輝き続ける芸術とはそういうものだ。
しかし、芸術の本質はそこにある訳ではない。作り上げる人間のその魂が喜びに打ち震える事が出来たのなら、嵐渦巻く地方の路傍に、風の止んだ凪の一瞬にこしらえられた砂絵はやはり芸術なのだ。一陣の風がその姿をすぐにかき消したとしても。
そんな砂絵の芸術性がヒトのカタチをとったようなナニモノかが勇者と祭り上げられたとしたらどんな物語になるでしょう?
本作品はそんな物語。
世間一般とは…続きを読む - ★ Good!美しいものは破壊したいよね!
これは童話だろうか。それとも一般向けのファンタジー小説だろうか。
どちらとも言い難い。
童話であれば、こういった露骨な残虐性などは頻繁に見受けられるが、加えて何かの教訓があるのも常である。だが、この小説に果たして教訓があろうか。
ファンタジーであれば、勇者次第で血は流せる。だが、この小説の勇者は果たして勇者であろうか。
ところで、美しいものを破壊したいという気持ちは、万人はあらねど、ある人にはある。可愛い彼女の顔を思い切りぶん殴ってみたり、美しい風景がをズタズタに引き破ったりしてみたいと思うことは、そこそこあることだ。
だからこれは、ある意味ではファンタジーではなく大衆文学とも…続きを読む - ★★ Very Good!!魔王討伐の勇者、意外な旅する理由とは……“芸術”
読者企画〈誰かに校閲・しっかりとした感想をもらいたい人向けコンテスト〉参加作品としてレビューします。
〈まず通常レビューとして〉
タイトルに『勇者』と入る作品は個人的に地雷要素が多いのが常で、本作もびくびくしながら読み始めた。そして第一話の途中で、それが杞憂だったことを知った。むしろ、個人的にはたいへん“肌に合う”作品で、約5000文字、原稿用紙にして十数枚という短さもあって一気に読み通してしまった。
まず文章が整然と巧い。「Web小説」と呼ばれる界隈では見かけない類いの巧さだ。公募賞でも高次の選考に進むまで文章面で文句を言われることはないだろうレベル。
『キリトリセン』のア…続きを読む