この作品だけでも楽しめます。……が!

“鬼”という存在によって故郷も家族も声も失った少女と、並外れた強さと重い秘密を持つ自警団長の男の恋物語です。

あらすじと恋愛要素の素敵さは他の方のレビューもあるので割愛します。
個人的に「ここにも注目してほしい!」と思うところは世界観とそれに伴う描写でしょうか。
ロンが抱える秘密。それが明かされる際の、神秘的でどこか畏怖を感じるような美しい風景と心理描写。合間に挟まれる美味しそうな料理のワンシーン。
そして何より「何故“鬼”というものが主人公達の世界に存在するのか」「そもそもこの世界は“何”なのか」という世界観の基盤部分もまた最高なんです。
本作だけでも100%楽しめるのですが、このレビューで少しでも興味を惹かれた方は是非同作者様の『きっとあなたは偶然ではない』も読んでみてください。そしたらこの小説の面白さは200%に跳ね上がります!

じれじれともどかしさと切なさを含んだ恋愛小説としても、しっかりとしたファンタジー小説としても楽しめる『君に八百年の花束を』。どうぞご一読ください。

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