深い言語観に基づく超大作

壮大で重厚な物語ですが、十三歳の少女の瞳を通して語られているため読みやすく、すぐにこの世界の虜となりました。

一話ごとの余韻が凄まじいです。
琴線にふれる言葉もふんだんに詰まっていて、ページをめくるたび、心が満たされていくのを感じました。
短い一言でサラリと確信を突いたり、同じ言葉がまったく違う味わいを持って再登場したり、たった一文で物語の手触りをガラリと変えたりと、鮮やかな筆致に終始魅了されました。
張りめぐらされた謎が解き明かされていく終盤はただただ圧倒されるばかりで、鳥肌と涙が止まりませんでした。

登場する人物たちもすごく魅力的で、私はマリウスさんに強く心を奪われました。彼の生き様も、彼が語る言葉も、ひとつたりとも忘れたくないほど大好きです。


SF初心者故レビューを書く勇気がなかったのですが、最後まで読み終えた今、この感動をちゃんと自分の言葉で伝えたいし、届いて欲しいと思い直しました。
自分の言葉で伝えること、相手の言葉を感じること、言葉の可能性を信じること、すべてを諦めずに大切にするべきだと、この物語が教えてくれました。

この超大作を書き上げた作者様は一体何者なんでしょう。言葉の伝道師とお呼びしてもいいですか……!!

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