ゴーレムを通じて、言葉と心の意味を問いかける言語SF
- ★★★ Excellent!!!
物語の中心となるのは、土から生まれ人間の代わりに様々な仕事を行うゴーレムたち。
ゴーレムと聞くとファンタジーのように感じられますが、本作はれっきとしたSF作品。
伝承で語られる設定を上手く取り入れ、そこから本作独自の要素を加えて、この作品ならではのオリジナルのゴーレムを作り出しています。
人間の命令を理解して行動することのできるゴーレムたち。
言葉が通じるということは、彼らに心はあるのか? そもそも心とは何か?
そんな話を「中国人の部屋」などの思考実験を引用しつつ展開していきます。
とはいっても、そこまで小難しい話ばかりではなく、ストーリーはしっかりエンターテイメント。
ある日、暴走したゴーレムに襲われた13歳の少女・ナーナ。そこに現れたのは、死んだ兄と同じ顔をした一体のゴーレム。
しかもこのゴーレムは普通のゴーレムと違い言葉を発することができる。
果たしてこのゴーレムは何者なのか? そしてなぜナーナは襲われたのか?
ゴーレム同士の戦いなどの、アクション要素も散りばめながら物語は進んでいき、徐々に真相が明かされていくストーリーは読んでいてたまりません!
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=柿崎 憲)