これは文学かファンタジーか?独創的で引力の強い物語!

第26話まで読んでのレビューです。
とても素晴らしい物語です。これは文学でありファンタジーであり、現実と空想のはざまに位置する物語で、子供から大人へと変わっていく瞬間を切り取ったドラマです。
主人公「ケイジ」は学校の屋上で「ミルイ」と運命的な出会いをします。この「ミルイ」かなり不思議な少女で、人を寄せ付けない美少女です。その彼女が目の前で校舎から、何のためらいもなく飛び降りるのです。これが二人の出会い。何事もなく生還した彼女はケイジを運命の人と呼び、ここから二人の不思議な物語が始まります。やがて明らかになっていくミルイの異質さ、それは彼女が物語を現実にするという不思議な能力を持っているせいだと明かされます。
日常生活にスルリと紛れ込むファンタジーの要素、同時にやはり確固として存在している苦い現実の生活、醜い自分の心とそれでも前に進もうとする苦しい戦い、そういった物語が混然一体となって、しかしとても読みやすい文章と構成で、この物語を作り上げていきます。
ミルイが引き込んでくる物語世界が現実世界と触れ合った瞬間の描写、地の文の巧みさ、ところどころに挟まれる風景描写の美しさ、物語の見どころがたくさんあります。もちろんキャラクターの良さもたっぷりで、読者それぞれに思うところが出てくるでしょう。
とにかく独創的な物語ですが、読みやすい作品でもあります。
ぜひ読んでみてください!

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